約5億3000万円の累積赤字を抱える府中市立府中北市民病院(上下町)をめぐり、市が11月中の取りまとめを予定していた経営健全化計画の見直しが大幅に遅れることが26日、分かった。市は12月の市議会定例会で見直しの骨格を説明する方針だったが、不可能となった。
遅れの原因は、市内部の調整が難航し、市の諮問機関「健康地域づくり審議会」の市立病院経営審査分科会に見直し案を提出できなかったため。26日の定例会見で伊藤吉和市長は「成案作りに2カ月はかかる」とし、12月定例会で謝罪する考えを示した。北市民病院は前身の町立上下病院時代から赤字体質が続き、市は2006年度に健全化に着手。一般会計から特別に繰り入れている赤字補てん額を段階的に減らし、病院側も体質改善に向けた経営努力を進めていた。
ところが本年度に入り、外科医の減員に伴って医業収益が大幅に減少。来年度は整形外科医も減る見通しが判明し、市は9月の市議会定例会で健全化計画の見直しを表明。今月13日の審査分科会で、病院は見直しの前提となる本年度以降の収支計画を説明。しかし、各委員から「楽観的」などの厳しい意見が続出した。市によると、病院が説明した収支計画は医師の増員を見込んだ内容で、来年度赤字額を1億円前後と試算。一方、市事務局は倍の2億円程度に上るとみており、分科会前に両者の調整がつかなかったという。
【写真説明】経営健全化計画の見直しが遅れることになった府中北市民病院
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