“復興の光”に祈り…兵庫
鎮魂ライブで遺族ら
阪神大震災で大きな被害を受けた兵庫県西宮市の阪急西宮北口駅周辺で22日、電飾を施す「にしきたイルミネーション」の点灯式が行われた。この行事の一環として、同市内の下宿先で亡くなった神戸大生、加藤貴光さん(当時21歳)が母親のりつこさん(60)にあてた手紙を歌にした音楽家、奥野勝利さん(34)によるミニライブも開催。りつこさんや多数の市民が<復興の光>を見守りながら、震災の犠牲者の冥福と地域の発展を祈った。
西宮で点灯式
点灯式前に開かれた奥野さん(右)のライブで、貴光さんへの思いを語る加藤りつこさん(西宮市で)
点灯式は同駅近くの商店主らでつくる「西北活性化協議会」の主催で、今回で4回目。これに先立ち、県立芸術文化センター前で行われた奥野さんのミニライブには、貴光さんの父親の宗良さん(58)と、りつこさんが初めて出席。奥野さんがピアノを弾きながら、力強く歌い上げると、りつこさんは時折、目頭を押さえ、聞き入っていた。
周辺では午後6時過ぎから順次、イルミネーションが点灯。りつこさんは「貴光と奥野さんの2人のおかげで、ようやく西宮に来ることができた。きっと貴光もここに帰ってきていると思う」と言い、奥野さんは「犠牲者のことを忘れずに生きていくために今後も歌っていきたい」と話していた。
イルミネーションの点灯は来年1月31日まで連日午後5〜11時。
川西では「夢ナリエ」
ライトアップされた「大和夢ナリエ」のツリー(川西市で)
一方、川西市の大和団地でも地元住民が、近くの平木谷南公園や能勢電鉄畦野駅前を約2万個のライトで照らす恒例の「大和夢ナリエ」を行った。来年1月7日まで。
「大和の夢かなえたい実行委」の主催で、今回で9回目。当初は地元の商店会による電飾だったが、毎年、規模を拡大してきた。
同公園では、午後5時45分から点灯式があり、住民らがハンドベルの演奏やクリスマスソングの合唱。その後、高さ13メートルのクリスマスツリーやアーチなどが赤や青の電球でライトアップされると、住民から歓声が上がった。
会場には子どもたちが願いを書いた短冊も飾られており、佐伯忍・実行委委員長(78)は「今後も地域住民の幸せを願って続けていきたい」と話した。
(2008年11月23日 読売新聞)