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お湯は使い放題? でもお風呂は嫌いなウィーンっ子たち

2008年11月26日

  • 筆者 

写真ごく一般的なバスルーム写真我が家の広くて浅い洗面台写真フンデルトヴァッサーのゴミ焼却場写真シャワー用のガラス戸

 ウィーン市のゴミ焼却場は画家、フンデルトヴァッサーのデザインだ。彼の奇抜なデザインは、一目置かれている。しかも排熱は周辺地域の暖房とお湯の熱源にもなっている。まさにエコの先端を行くシステムだ。さらにうれしいことに、周辺に住んでいる人たちは、暖房やお湯をふんだんに使っても、自分の懐は痛まない。

 文字通り、湯水のごとく使っても家計に響かないのだ。ところがウィーンっ子はほとんどがシャワー派。真冬、外は零下20度になっても好んでは風呂に入りたがらない。

 日本人留学生を間借りさせていたインゲは、当時のことをいまだに全身に怒りを込めて振り返る。

「日本人なんてもう金輪際、間借りさせないわ。だって毎晩お風呂に入るのよ。おかしいでしょう? そしてその間ずーっとバスルームはふさがっているし、毎日のことだから大変。最初は事故でもあったかと心配したけど、お風呂に入っているらしいのよね。でもどうして毎晩入る必要があるの?」

 結局、その留学生は風呂が原因で2カ月足らずで追い出されたらしい。

 私もバスルームは一番リラックスできる場所でありたいと願い、リフォームには特に力を入れた。海の色をイメージしたブルーのタイル、洗濯機も置き、ワンコのトリミング台もつけた。シャワーカーテンは季節ごとに模様を変えるという凝りようだ。飼い主と同じく我が愛犬は風呂好き。私がBGMを聴きながら鼻歌まじりで入っていると、「僕も入れて〜」と甘えた声で鳴いている。

 一緒に入れてあげると気持ちよさそうに目をとじている。オーストリア人は朝、出勤前にシャワーを浴びるが、夜寝る前や夏場は、洗面所に湯を入れて少々のボデイジェルで体を洗う程度の人がまだ多い。しかも足まで洗面台に入れて交互に洗う。せっけんだってよく洗い流せないのに……、まるでカラスの行水だ。そのため、洗面台は写真のように大きくて浅めのタイプが人気だ。

 親友コニーもお風呂に入るのは2カ月に1度。バブルバスに入った後はそのまま、シャワーを使って泡を洗い流すこともない。

「だってバスローブを着れば泡がとれるじゃない? どうしてお湯の無駄遣いする必要があるのかしら? そのためのバスローブなのよ」

 日本に帰る度、温泉でゆっくりくつろぐ時がもっとも日本人でよかったと思える瞬間だが、たぶんどんなに親しいウィーンっ子たちでも理解してくれないだろう。

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