[9022][用語]紙の種類について［アート紙・コート紙・マット紙・上質紙・中質紙］

最終更新日時：2008年11月05日 11:51

印刷するときの用紙の選択は印刷物の仕上がりに非常に影響を与える項目です。ここでは代表的な用紙を説明します。

用紙が違えば、インキの乗りやインキの反射率が異なります。このため全く同じデータでも印刷結果が異なってきます。この点に注意をして紙を選択してください。

紙の表面に塗料を塗布することで、白色度や平滑性、インキの受理性、あるいは網点の再現性、印刷光沢、印刷不透明度などを高めたものが塗工紙です。これによって、印刷物により質感や高級感を与えることができます。

塗工紙は、塗料の塗布量と、ベースになる紙の種類によって分類されます。

光沢を出した紙（グロス系）は白紙光沢、印刷光沢とも高く、写真中心とした印刷に適しています。光沢を抑えた紙（ダル・マット系）は文字中心の印刷に適しています。ダル系の紙は白紙光沢のみを抑え、マット系の紙は白紙、印刷の両光沢を抑えたしっとりとした風合いになります。

塗料量	上質紙をベースに両面40ｇ/㎡の塗料を塗布
再現性	光沢があり、彩度が高い
用途	高級美術書、写真集、ポスター、カレンダー、カタログ
注意点	絵柄にベタの塗りが多いときには表面加工（PP加工など）を行わないと、擦れてインキが落ちることがあります。

塗料量	上質紙をベースに両面20ｇ～40ｇ/㎡程度の塗料を塗布…A2コート中質紙をベースに両面20ｇ～40ｇ/㎡程度の塗料を塗布…B2コート（A2・B2コートの呼び方は紙のメーカーや印刷会社によって異なるようです）
再現性	光沢があり、彩度が高いがアート紙より少し落ちる
用途	A2コート…高級美術書、ポスター、カレンダー、カタログ B2コート…雑誌の本文、カラーページ、チラシ
注意点	絵柄にベタの塗りが多いときには表面加工（PP加工など）を行わないと、擦れてインキが落ちることがあります。フルカラー印刷において最も多く利用される紙です。

塗料量	上質紙をベースに両面15ｇ/㎡程度の塗料を塗布…A3コート中質紙をベースに両面15ｇ/㎡程度の塗料を塗布…B3コート（A3・B3コートの呼び方は紙のメーカーや印刷会社によって異なるようです）
再現性	光沢があり、彩度が高いがアート紙より落ちる
用途	A3コート…チラシ B2コート…チラシ
注意点	絵柄にベタの塗りが多いときには表面加工（PP加工など）を行わないと、擦れてインキが落ちることがあります。

塗料量	アート、コートに準ずる
再現性	［ダル］白紙部の光沢は少ないがカラー印刷面の光沢はあり、彩度もあまり落ちない［マット］白紙部、印刷面ともに光沢がなく色の彩度は落ちるが、シックな感じになる
用途	高級美術書、写真集、ポスター、カレンダー、カタログ
注意点	絵柄にベタの塗りが多いときには表面加工（PP加工など）を行わないと、擦れてインキが落ちることがあります。

原材料	［上質紙］化学パルプ100％を原料としている紙［中質紙］化学パルプを70％以上含み、その他を砕木パルプを30％程度混ぜ合わせた紙
再現性	上質紙は非塗工紙の中では、もっとも白色度が高く、印刷効果も良い
用途	書籍、カタログ、チラシ
注意点	４色カラー印刷には向きません。主に単色印刷に用いられます。元々色が入った紙があります。