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良薬六一〇ハップ口惜しい幕…硫化水素自殺に悪用で

製造元の武藤鉦(むとうしょう)製薬、清算へ

 今年相次いだ「硫化水素」による自殺のあおりで、“主犯”と名指しされた医薬品入浴剤「六一〇ハップ(ムトウハップ)」の製造元、武藤鉦(むとうしょう)製薬(名古屋市)が今月、102年続く同社の業務を事実上終了したことが分かった。一連の騒動による販売自粛を決めた全国の薬局やドラッグストアが、解除後も再び販売する予定がないことから、社長自ら会社を整理する方針を固めたという。

 「くやしくて仕方ありません。誤った使い方をした人たちのために、これだけ長く支持されてきた安くて良い商品が、存続できないなんて…」

 武藤鉦製薬の担当者は、夕刊フジの取材に憤りを隠さない。誤った使い方とは言うまでもなく「硫化水素自殺」を指す。

 昨年末、ネット掲示板や自殺関連サイトに「キレイに死ねる方法」といった“デマ情報”が流れた。ガス発生の手段として、「六一〇ハップ」と一部のトイレ洗浄剤を一定比率で混ぜ合わせる方法が紹介され、瞬く間に広まった結果、硫化水素自殺者は876人に達し、前年の約30倍となってしまった。

 硫化水素自殺は実際には、「キレイ」どころか無残な死を迎えるが、日本ドラッグストア協会(東京)は今年4月、両者の販売自粛を決定。騒ぎが沈静化した7月に解除したが、文書通達がなかったため情報が錯綜し、「六一〇ハップは販売禁止」「武藤鉦はつぶれた」「厚労省が回収した」などと案内する店員も現れるなど状況はさらに悪化。もはや復活の目はないと判断した武藤俊明社長自ら、業務終了を決断した。

 同社は1906(明治39年)年創業。従業員16人ながら皮膚病や水虫、腰痛に効くとされる、硫黄と石灰が原料の医薬品入浴剤「六一〇ハップ」(業務用、個人用)と、医薬部外品の「六一〇レモンハップ」(2006年製造中止)の3製品で平均月商1500万円。昨年度売り上げも1億7600万円に上っていただけに、業務終了を惜しむ声は根強い。

 「六一〇ハップは、流通の8割以上が薬店ルートの小売り。私たち社員も死活問題ですが、水虫や皮膚病の治療で長年欠かさず使用してきた方々は本当に困っています。販売自粛以降、現在まで700件以上のご意見が寄せられ、いまも1日数件の問い合わせがありますが、大半は購入できなくなったことに対する苦情です」(同社広報部)

 会社の清算時期は未定だが、すでに10月末で工場は操業を停止。今後は医療用や浴場向けの業務用のみ注文に応じて製造し、個人の注文には大量の返品在庫で直販対応のうえ、無くなり次第終了するという。同社は「来年いっぱい継続できるかどうか」と話している。

ZAKZAK 2008/11/26

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