国際政治理論の批判的再検討
−「政策主義」と「行動主義」概念導入の提案−
はじめに
国際政治を学ぶ者にとって、国際政治理論は学びはじめの頃に必ず通る道だろう。授業の科目名は違っていても、学部や修士課程で一度は国際政治理論を履修する機会がある。たとえ授業でなくても、国際政治理論に関する書物を読むこともある。その国際政治理論に違和感を抱いたことは無いだろうか?
「理想主義」と「現実主義」は対極の概念である。理想主義は、あるべき理想を追求していく姿勢であり、現実主義は、あるがままの現実をあるがまま受けとめる姿勢といえるだろう。しかし、国際政治理論の理想主義と現実主義は、一般的に考えられている理想主義や現実主義と同じではない。国際政治における現実主義は、パワーを追求する国家間の権力闘争とされ、主要な理論として発展してきた。もう一方の国際政治における理想主義は、あるべき理想を追求していく姿勢という考え方であるものの、第二次世界大戦後はすっかり影を潜めてしまった。
授業や書籍でも、現実主義はその発展も含めて体系的に詳しく述べられるが、理想主義は対極理論として述べられるにはあまりに貧弱である。戦後の理想主義の流れをくむものとしてネオリベラリズムが挙げられたりもするが、もはや理想主義は理論としての力を失ってしまったようにすら見える。国際政治経済辞典(東京書籍 1993)の理想主義の項目にも「日本の知的動向は今なお理想主義を否定するやり方が輸入学問的に定着して」いるという記載があるように、日本でも理想主義は国際政治理論の主流から外れた扱いを受けてきた。しかし、理想主義は本当に朽ち果ててしまったのだろうか?
最初に述べた違和感はここにある。言うまでもなく、国際政治において理想を追求する姿勢は、現在でも数多く存在する。学問としての理想主義が、その姿勢をうまく汲み取って理論化してこなかっただけではないだろうか?そしてもう一つの違和感、それは現実主義の国家中心的な、あまりに硬直化した思考にある。その硬直化した思考が、理想主義の発展を歪めてきたのではないだろうか?
、、、大風呂敷を広げすぎてしまいました。本当にすみません。
そこで本稿では最初に、これまでの国際政治理論としての理想主義と現実主義を概観することから始める。次に一般的な意味の理想主義と現実主義に立ち返り、そこから理論を積み上げ直していく。それによって硬直化した現実主義を解きほぐし、対極としての理想主義の力を再発見する。さらに、理想主義と現実主義の理論の架け橋、補助概念として「政策主義」と「行動主義」を提起、その有用性を検討していく。これらの過程を辿ることで国際政治理論に抱いていた違和感を払拭することを、本稿の目的としたい。
骨格は以下の通りです。日々、書き加えていったり、削除したりしていきます。ですから、昨日言ったことと今日言ってることがコロコロと変わったり、矛盾が出てきたりする場合も多々あるかと思います。それを見つけたら、笑って許してやって下さい。
第一章 国際政治理論概観
図1 国際政治理論のイメージ |
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第二章 理想主義と現実主義
図2 一般的な理想主義と現実主義のイメージ |
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第三章 国際政治理論の再編成
図3 整理された国際政治理論のイメージ |
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第四章 政策的問題解決アプローチと国際政治理論
図4 政策的問題解決アプローチと国際政治理論のイメージ |
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第五章 「政策主義」と「行動主義」の導入
図5 政策主義と行動主義のイメージ |
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図6 政策的問題解決アプローチと国際政治理論のイメージ |
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第六章 結論
図7 4つの主義からなる国際政治理論のイメージ |
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あと、何がどう変わっていったのか確認するための備忘録として「ウェブ魚拓」を使ってみます。いったいどれだけブレずにやっていけることやら、、、
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