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2008/04/15

<国際派時事コラム>竹島「密約」のあった時代

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ほぼ週3回更新の「ブログ」。
話題豊富に続いています ↓
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/


◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆
            http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/


        竹島「密約」のあった時代


■■■■第221号■■平成20年4月15日発行■■■◆




 島根県の竹島のことを韓国政府が自国領だと言い出したの
は、昭和21年1月29日の「連合国軍最高司令官総司令部訓令
第677号」に由来する……

……というのは前から知っていたのだけど、こんど初めて原
文を読んでみて、のちに韓国・李承晩政権が竹島領有に激し
く固執したわけだと合点がいった。

 問題の連合国軍訓令第 677号は、日本政府の行政権が及ぶ
範囲を暫定的に規定したもの。

 日本の行政範囲から暫定的に外す対象には、奄美大島や伊
豆諸島さえ含まれていた。
 連合国軍側は
「この訓令は日本の領土確定に関する連合国の政策を明示し
たものと解釈されてはならない」
と第6条で断り書きをしている。

 そういう暫定規定のなかで、竹島も日本の行政範囲から外
された。
 その外され方が、韓国人の血圧を良くも悪しくも急上昇さ
せそうな書きぶりなのだ。


 原文を部分引用すると

≪... and excluding (a) Utsuryo (Ullung) island, 

Liancourt Rocks (Take Island) and Quelpart (Saishu or 

Cheju) Island, (b) the Ryukyu (Nansei) Islands south 

of 30 degrees North Latitude....≫

とある。


≪行政権からの除外地域は(イ)鬱陵島(うつりょうとう)、
竹島、済州島(さいしゅうとう)、(ロ)北緯30度以南の南
西諸島……≫


 何とも罪作りな語順だ。

 明らかに朝鮮王朝領であった「鬱陵島」と「済州島」のあ
いだに「竹島」が書かれている。

 これゃ「独島(=竹島)は韓国領でござんす」という据え
膳だ。
 据え膳食わぬはナントカの恥であろう。
 心のなかは隅田川の打ち上げ花火だ。

 ぎゃくに「竹島は日本領」と認めようものなら、倭人ども
はその「竹島」のあとに書かれている「済州島」まで倭の領
土だと言い出しかねまい……

……昭和23年に大統領になった李承晩の強硬さは、そういう
猜疑が彼の脳裡を行き来したからではないか? と、これは
あくまでコラム子のふとした想像である。


連合国軍訓令第677号は、原文が外務省のサイトで読める:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/pdfs/g_taisengo01.pdf

(作成者不明だが読みやすい英文に和訳をつけたものはこち
ら。内容の正確さをコラム子は検証していません)
http://www.geocities.jp/uso888/scapin.html


      *     *     *


 さて、外交のいくばくかは密約によって成り立っているも
のだけど、これでもって世界の国家を5つに分類できる。

 自らも密約を守り、相手国にも守らせるだけの力のある国
が一流国。

 自らは密約を守るが、相手国になめられ密約を反故(ほご)
にされる国が二流国。

 自らは密約を破るが、相手国にはしっかり守らせる国が三
流国。

 自らも密約を破り、相手国にも密約を反故にされる国が四
流国。

 そして、そもそも密約があったことさえ忘れてしまう国が
仮にあるとすれば、それが五流国だ。

 読者の皆さま、ご異存のないところであろう。


 では、本日のメイン・ディッシュ。
 元NHK記者・渡部亮次郎さんの配信誌「頂門の一針」
4月6日号から。



■◆■   竹島「密約」のあった時代        ■◆■

               渡 部  亮 次 郎
 

 韓国人のビジネスマンが日本語で『竹島密約』という本を
書き7月を目途に東京の出版社「草思社」から出版する。

 韓国が 「独島」 と称して両国間で領有争いが収まらない
「竹島」について「共に領有を主張しない」という密約があ
ったことを喝破する本である。

 日本政府代表を務めた佐藤内閣の国務大臣河野一郎。
 その河野氏を担当して事情を知る記者は私1人になってし
まった。

 著者ロー・ダニエルさんの突然の来訪を受けて、事実を改
めて回想する次第。
 4月7日夜、江東区内で一献酌み交わす予定である。

 ダニエルさんの書き上げた本の「プロローグ」を基に話を
進める。


◎ かかわったのは7氏だけ ◎


 「竹島密約」とは、1965(昭和40)年6月に「日韓基本条約」
が正式に締結される5ヶ月前、 河野一郎 国務大臣と丁一権
韓国国務総理の間に結ばれた秘密の取り決めを指す。

 公式に明らかにされたことはない。

 端的に言えば、日韓の国交正常化のために領土紛争を永久
に「棚上げ」する「未解決の解決」が中身である。

 直接かかわったのは日本では河野一郎、宇野宗佑衆院議員
(のちに総理)、嶋元謙郎読売新聞ソウル特派員の各氏。
 
 韓国では丁一権、金鍾珞(金鍾泌 元韓国総理の兄)。
 
 さらに密約を了承した佐藤栄作総理大臣と朴正煕大統領の
計7氏。

 この事実をダニエルさんに教えたのは 中曽根康弘 元総理
大臣で、2年前の2006年6月のことだったという。

 ダニエル氏は驚きを以って裏づけ取材に奔走、事実を確認
した。


◎ 金泳三大統領が無視 ◎


 いくら当時の河野番でも、宇野氏と毎晩のように呑んだ仲
の私でも知らされなかったこと。

 おそらく中曽根氏も後に総理になったが故に知った事実で
あったろう。
 「河野派を除名する」 と河野氏に嫌われていたのに、河野
氏の急死に救われた経緯があるから。

 密約は永年遵守されていたが、1993(平成5)年に第14代大
統領に就任した金泳三氏が
「倭(日本)の奴らの悪い行儀を直す」
と公言して「わが領土独島」に新たな接岸施設を作り、「密
約」を無視して、問題は今日に至る。


 元々1951(昭和26)年9月に調印されたサンフランシスコ講
和条約では竹島・独島は、日本が韓国に返還すべき領有権の
中に含まれていなかった。

 これを外交の「敗北」と受け取った当時の李承晩大統領は
日本では「李ライン」と呼ばれる「平和線」を一方的に宣言
し、その領域の中に竹島を入れた。

 ここから竹島・独島の領有権争いが本格化した。

 しかし1961(昭和36)年5月16日、軍事クーデターによって
政権を奪取した 朴正煕大統領が目標とする 「韓国の明治維
新」を実現するためには、両国関係の正常化と日本からの資
金導入は不可避だった。


◎ いったん冷えた交渉のエンジン ◎


 そのために、韓国ではタブーだった「親日」を敢えて恐れ
ない朴正煕氏と、朴正煕氏の姪の夫でもある金鍾泌氏(韓国
中央情報部長)は新しい日韓外交の幕を開けた。

 まず 1962(昭和37)年11月に池田勇人内閣の外務大臣 大平
正芳氏と金鍾泌氏との間に「大平・金メモ」が作成され、残
るは竹島・独島の帰属問題となった。

 ところがその後、金鍾泌氏の失脚、さらに日本側の窓口だ
った 大野伴睦 自民党副総裁の死去で交渉のエンジンは冷え
た。

 そこで登場するのが河野一郎氏である。

 池田総理の懇願で、河野一郎氏は大野伴睦氏後継を受諾。
 その代行としては、元秘書で衆院議員に当選してきたばか
りの宇野宗佑氏を指名。

 韓国側は金鍾泌氏に代わって兄の金鍾珞氏(韓一銀行常務)
が宇野宗佑氏のパートナーとなった。
 彼が朴大統領には革命同志であり、且つ日本で教育を受け
た日本通であったからである。

 この間、 実質的に両者の連絡役を務めたのが、当時 読売
新聞ソウル特派員だった嶋元謙郎氏である。


◎ 韓国の国務総理に渡されたメモ ◎


 嶋元氏は植民地統治時代に『京城日報』の編集長だった父
の下でソウルで中学校まで通った韓国通だったから、朴政権
の日本側コンサルタント役を務め、 朴大統領の 側近からは
「VIP」と称されていた。

 このことは河野一郎氏も認めていた。

 宇野宗佑、金鍾珞両氏の作業は順調に進み、1965(昭和40)
年1月11日、ソウルの某財閥オーナーの邸で河野一郎作成に
かかる「メモ」が宇野氏から丁一権国務総理に渡された。

 嶋元氏は側でメモを取っていた。

 文書は直ちに朴大統領に届けられ裁可を得た。

 宇野氏は嶋元氏を伴って直ちにソウル南部の龍山にある米
軍基地から特別回線を使って河野一郎氏に報告。

 河野一郎氏はそれをワシントン滞在中の佐藤総理に報告し
た。

 「竹島密約」成立の瞬間。
 佐藤・ジョンソン声明が発表される1日前だった。

 しかし佐藤栄作氏は間もなく河野一郎氏を内閣から追放し
た。


◎ 外相も駐日大使も知らされなかった韓国側 ◎


 日韓基本条約は1965(昭和40)年6月22日に調印されたが、
河野一郎氏は7月8日に腹部大動脈瘤破裂のため急死した。
 67歳だった。

 韓国では朴大統領が部下に射殺された。
 その後、竹島密約文書を自宅に保管していた金鍾珞氏は、
身の危険を感じる事件のために1980(昭和55)年5月17日に連
行される前にメモを燃やした。

 メモの作成のことは日本側では逐一、椎名悦三郎外務大臣
に報告されていた。
 しかし韓国側では、外務長官はもちろん、駐日大使にも知
らされなかった。

 だから文書は日本にしか残っていないわけだ。

 しかも竹島・独島の置かれた政治的現状を見れば、日韓間
には「密約を交わせる時代」があった、と悲観的に回顧する
以外に無いのは残念だ。

        2008・04・05(わたなべ・りょうじろう)
       (本コラムの再転載は著者承諾が必要です)

==


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===


 なお、竹島問題をめぐる日韓密約については平成19年3月
20日に鈴木宗男議員が国会で質問をしている。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a166135.htm

 当然ながら、政府は

≪このような我が国の立場に反する約束を両国間で秘密裡に
行うようなことは当然認められず、御指摘の「密約」が我が
国と大韓民国との間で行われたとの事実はない。≫

と安倍晋三内閣総理大臣名で答辯している。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b166135.htm

 「密約」だから、当然そういう答辯となる。

 
===


▲ 後記 ▼
 

  さいきんのコラム子のブログ記事から ――


ことわざパロディー 「鬼の犬 魔の選択」 
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200803290000/

 何だい、鬼の犬 魔の選択 って?
 おにの いぬ まの せんたく、ですよ。

 それってどういう意味? 
 たまにはお笑いを。
   
  

台北市役所の浅知恵か? 
ポチの墓なみの“樹洒葬”(じゅしゃそう)
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200804020000/

 これまた目を疑う先祖の弔い方。
 「進歩派」気取りの官僚が推進したらしい。



米国の両政党の海外でのウケぐあい 
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200804110000/

 民主党がうけるのはヨーロッパ、
 共和党がうけるのは日本・中国・インドなどアジア諸国
 という現象を腑分け。


==


<泉 幸男 著>


   『中国人に会う前に読もう  第一線商社マンの目』 

『日本の本領(そこぢから)  国際派商社マンの辛口メモ』

               通 信 販 売 も 受 付 中
         http://homepage2.nifty.com/sai/mart/


==

■主宰   泉 幸男(いずみ・ゆきお)

http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
(旗艦ウェブサイト。これまでの号もここで見られます)
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/
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