遼怖い「コース内に地雷埋めた」大会中止要求…男子ゴルフ・カシオワールド

　爆破事件に見舞われている高知・Ｋｏｃｈｉ黒潮ＣＣ（７３００ヤード、パー７２）が、今度は「コース内に地雷を埋めた」という脅迫電話を受けた。２５日朝、地元新聞社に男から電話が入ったもので、所轄の安芸署の警察官らが練習ラウンド終了後の夕闇の中、金属探知機などで捜索を行う異様な雰囲気。結局地雷は発見されず、２７日から男子プロゴルフツアーのカシオワールドオープンは開催される方向だが、相次ぐトラブルに、石川遼（１７）＝パナソニック＝ら出場選手には不安が広がった。

　日もすっかり暮れた午後５時１０分過ぎ。大半の選手が引き揚げたコースは突然、ゴルフ場とは思えないものものしい雰囲気に包まれた。安芸署員が次々とクラブハウス前に集合。約３０分後には金属探知機を持った警察官も到着。暗くなった芝の上を、警察官約３０人が金属探知機４台を手に地雷大捜索を始めた。

　きっかけはこの日午前９時過ぎに地元紙の高知新聞社にかかった１本の電話だった。男の声で「黒潮カントリークラブの場内に地雷を埋めた。危ないので、今すぐ開催をやめさせるように言ってほしい。じゃないとけが人が出ますよ」と脅迫した。「（埋めたのは）いつですか？」と聞くと、「先ほどです」と答え、約１分で電話を切ったという。

　高知県警はすぐさま対策会議を開いた。ゴルフ場近辺、近郊にある多数の選手が宿泊しているホテル、２２日に爆破された同ＣＣの筆頭株主で、大会の協賛企業でもある高知市内の食品卸業「旭食品」本社など約３０か所を１００人で警戒警備にあたっていたが、１６０人に増員。「あしたからコース内に警察官を入れます」（同県警）と、当初は競技開始の２７日からコース内の警備にあたる予定だったが、プロアマ戦が行われる２６日からに繰り上げた。

　主催者側もこの件を選手たちに伝えなかったため、この日の練習ラウンドは通常通り行われた。ただ、報道陣からの質問に反応は明るいものではなかった。「僕はやれることをやるだけ。想像しただけでも怖いけど、プレーしているときは考えない。１人でも危険にさらされるのは良くない」と石川。「これだけ警備をやってくれているし大丈夫」とゴルフ場へ向かうまでの万全な警戒態勢に楽観的な選手はいたが、「やっぱり怖い。大丈夫だとは思うけど気持ちは悪い」と不安がる者もいた。

　約２時間に及ぶ日本ツアー前代未聞の捜索の結果、地雷は発見されなかった。だが、軍事ジャーナリストの神浦元彰氏は「事前に軍用の手りゅう弾が２発爆発していなければ、悪質なイタズラで済まされるが、実際に爆発している。そうなると、そのような電話でも簡単に無視するわけにはいかない」と警告する。プラスチック製やセラミック製の地雷なら金属探知機で発見できないため「（開催するかは）難しい判断になると思う」と話した。

　宮川祐一大会事務局長は「警備を強化し万全を期しています。悪質なイタズラの可能性が高いと県警から聞いた新聞社への電話に対しても、念のためコース内全域を捜索し、地雷や掘った跡など発見できなかったと報告を受けた。開催には支障がないと考えています」とコメント。今は大会が無事に開催されることを願うしかない。

　◆地雷　地中に埋めるか、または地上に置いて爆発させる爆薬。兵器として対人用、対車両用がある。重量が信管にかかることで作動するものが一般的だが、遠隔操作で起爆させるものや赤外線センサーを使うものもある。大きさは破壊対象によって様々あり、小型のものではヘリコプターなどによって空中から散布して設置するものも実用化されている。小さい物だとこぶし大で、踏んだ足を吹き飛ばす。ビールの５００ミリリットル缶程度の大きさの物では、踏むことによってロックが解除され、空中に跳ね上がった爆薬が破裂するタイプもある。この場合、半径２０メートルにいる者に被害が及ぶと言われている。日本国内では入手するのは無理と思われるが、東南アジアなら５００円程度で買えるという指摘もある。