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2008年11月26日

 アフリカ東岸を荒らし回る海賊対策に、自衛隊派遣が検討されている、と報じられている。21世紀の海賊退治とは、時代が大きく逆戻りしたような気がする

ロケット弾やレーダーも備える相手だが、やることは略奪と人質をとっての身代金要求。中世の無法社会そのままである。海賊が横行する近隣には、部族対立に明け暮れる戦国乱世の国もある。世界は広いし、国もいろいろである

海賊は、遠いアフリカの出来事だと思っていたが、似た話を身近で耳にした。今がおいしい盛りのカニを巡る騒動。山陰沖で韓国船の密漁が横行しているという。刺し網を仕掛けての一網打尽で、捕れたカニが日本に入ってくる、とも聞いた

資源保護に熱を入れるわが国をあざわらう無法である。漁船の摘発は続くが、広い海では取り締まりにも限界がある。おきて破りが北陸沖まで広がってこないという保証もない

海を隔てているので合点するのは難しいが、海の幸豊かなこの地は、時に争いがつきまとう「国境の町」なのである。カニの身1つおろそかにする気はもとよりないが、美味に水を差す騒動である。


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