世界規模の環境保全活動で知られるコンサベーション・インターナショナル（ＣＩ＝本部・米国）のメンバーが二十二―二十四日の日程で初めて来沖し、本島北部の森を中心に米軍普天間飛行場移設先の名護市辺野古海域や大浦湾、東村高江のヘリパッド移設予定地などを視察した。ＣＩは研究者の調査実績がある世界三大ＮＧＯの一つ。米国を拠点とする同団体の視察は、本島北部の環境保護と基地移設への国際的関心の高まりを示している。（嘉数浩二）

　来沖したのは、ＣＩアジア太平洋環境保全戦略チーム責任者のナマル・デ・シルバさん（３０）と日本支部代表。国際野鳥保護団体バードライフ・インターナショナル（本部・英国）副会長で大宜味村でも活動する市田則孝さんや、ＮＰＯ法人やんばる森のトラスト（代表・宮城邦治沖縄国際大学教授）が呼び掛けた。財団法人自然保護助成基金の責任者ら十人も同行した。

　シルバさんは二十二日に普天間飛行場と嘉手納基地を回り、二十三日朝から辺野古海域や大浦湾を視察。辺野古漁港付近の浜では、サンゴの礫を手に取り、砂浜やリーフを撮影した。同飛行場の移設について「街中の基地は危険なので難しい問題だが、この海域に移設されればサンゴは破壊され、ジュゴンなど生態系に大きな影響を与えるだろう」と危惧した。

　東村高江のヘリパッド移設予定地や国頭村の北部訓練場を双眼鏡で観察。「山原の森は世界で最も重要な地域の一つに位置づけられている」と説明。「森が傷つけば固有種が地球上から消えてしまう。世界中が注目していることを、多くの人が知る必要がある」と訴えた。

　シルバさんは、北部地域の環境保全と基地問題へのＣＩの対応について「今は情報収集の段階」としつつ「地元の環境団体と意見交換し、支援できるか含めて検討したい」と動向を注視する考えを示した。視察を呼び掛けた市田さんは「自然保護への思いは同じ。互いの立場を尊重し日米の団体が連携できれば、解決の道筋が見えてくるのではないか」と期待した。