ミス東大は日本政治の行く末を憂う「踏襲」ぐらい読めますよ…「第１１代」に森千晶さん

　タレントの八田亜矢子さん（２４）らを輩出してきたミス東大コンテストが２４日、東京都目黒区の駒場キャンパスで行われた。５人の候補から第１１代のミスに選ばれたのは、理科２類１年の森千晶さん（１９）。タレントや女子アナを輩出しているミス東大だが、森さんは研究職を目指しており「（芸能界の道は）まだ分かりません」という。

　「ミスに輝いたのは…森千晶さん！」司会者の声が雨空に響くと、森さんは口に手を当てたまま動けなくなった。「まさか自分ではないだろうと思っていた。頭が真っ白になりました」

　入学直後、友人の推薦でエントリー。バンドサークルではボーカルを務める歌唱力で、この日もＣｏｃｃｏの「焼け野が原」を熱唱した。大雨にもかかわらず数百人が傘を差して集まった屋外ステージ。マイクを握った森さんが「抱いて〜」と歌うと、観客からは嵐のような拍手がわいた。

　「場合によってはＭです。メールの内容が素っ気ない人が好き。男に冷たくされると追いかけたくなる」といたずらっぽく笑う森さん。「ミスといってもミステイクかと思った」と懐かしいダジャレも飛び出した。

　県下ナンバー１の進学校である県立千葉高校を卒業後、１浪して挑んだ東大。「模試の東大Ｅ判定をひと夏でＡに変えた」というガッツと集中力でミスコンの“有資格者”となった。

　政界では麻生首相（学習院大出身）が、漢字の読み間違いを連発するなど、未曽有の知性のなさを露呈している。「踏襲とかあれくらい（の漢字）、と言っては失礼だけど。私でも読めます。最近の日本は首相が１年でコロコロと代わって心配です」と森さんは準ミスに輝いた武山彩乃さん（１９）とともに、厳しくＮＧを出した。

　歴代のミス東大にはタレント、女子アナなどテレビの世界で活躍する女性が多い。この日、特別審査員として参加した０４年ミス東大の八田亜矢子さんは、「生物、化学が好きで当初、研究職を考えていた」が１年後に芸能界の道に。知性派タレントとして情報番組、クイズ番組などで欠かせない顔となっている。

　「今の仕事も楽しいし（研究の道に進まなかったことは）後悔していない。ミスコンは人生の大きなチャンス。結果として私の人生を変えた」

　八田さんと同じ理科２類で、同じく研究職を目指す森さん。「環境系の専門職に就きたい。省庁ではなく企業への就職を考えている」という。

　◆ミス東大　東京大学・駒場キャンパスで行われる秋の学園祭「駒場祭」の最終日に行われるイベント。東大に在籍する女子大生（編入や留学生の前例もあり）が才色兼備の頂点を競う。主催する東大広告研究会によると、候補は自薦、他薦、同会によるスカウトにより６〜７月の期間に募集され、８月の選考で５人に絞られる。選考では面接での「自己ＰＲタイム」があり、中には太極拳のヘビの形を「シャー！」と披露する女性もいるとか。その後はブログやイベント出演で露出し、１１月のコンテストを迎える。同会の中島壮哉代表（２１）は「東大は女子学生が約２割しかおらず、集めるだけでも大変」と額の汗をぬぐっていた。

　◆ミス東大ヒストリー　主催の東大広告研究会によると第１回は１９９７年で、理科３類の斉藤瞳さんが初代ミスに輝いた。斉藤さんは、その後ラジオのナビゲーターなどを務めたという。

　ミスコンといえば女子アナの登竜門的存在。ミス東大も日テレの山本舞衣子アナ（００年）を送り出したほか、小正裕佳子さん（０３年）もキー局にアナウンサーとして内定が決まっている。また八田亜矢子さん（０４年）やラジオＮＩＫＫＥＩで番組を持つ加藤友理さん（０５年）は現在タレントとして活躍している。

　９８年の劉暢さんは、写真集を発売して芸能界デビューしたが、その後の消息は「分からない」（ミスコン関係者）とされる。

　もちろん東大生として順調にキャリアアップを重ね、資格をとるなどして堅実に社会で活躍しているケースもある。