上伊那地方の「お産」が集約化された以前と以降で、伊南4市町村の妊婦が、妊婦健診や「お産」の際に感じた思いの違いなどを把握しようとアンケートを行っている「安心して安全な出産ができる環境を考える会」は25日、アンケートの中間集計を発表した。それによると、「お産」入院時の不安、不便として「遠くて移動に時間がかかった」とした人の割合は集約化前の14.6%だったのに対し、集約化後は48.8%と半数近くに上り、集約化の影響があらためて浮き彫りになった。
アンケートは、昭和伊南総合病院(駒ケ根市)で今年4月から「お産」の取り扱いを休止し、伊那中央病院(伊那市)に産科医療が集約化されたことに伴い、集約化前の2007年11月―08年2月と、集約化後の08年4月―09年3月に出産した母親を対象に聞いている。
中間集計は、このうちの08年6月までに出産した人の調査分。集約化前の48人(回収率66%)、集約化後の80人(回収率82%)の計128人から回答を得た。
希望した施設で出産できたか―の問いでは、「いいえ」と答えた人は集約化前の16.7%だったのに対し、集約化後は55.0%と半数以上に増加。その理由として、昭和伊南の分娩休止を挙げる人が81.8%を占めた。実際の出産施設は、集約化前は昭和伊南64%、伊那中央2%だったのが、集約化後は伊那中央が70%となっている。
「お産」の入院に関して、出産施設までかかった移動時間では、集約化前は10―19分が33.3%で最も多かったのに比べ、集約化後は40―49分が28.8%で最多。移動に時間が掛かったことで「入院するタイミングが分からず不安」とした人が集約化前16.7%に対し、集約化後は45.0%。「生まれてしまうのではという不安」とした人が集約化前14.6%に対し集約化後36.3%だった。
行政に対する要望として、「いつでも気軽に相談できる窓口」「凍結しにくい道路」「無料または格安で利用できる託児施設」などが集約化の前後とも多かった。集約化後に多くなった要望としては、「妊婦健診時に無料または格安で利用できるタクシー」「医療機関まで巡回する妊婦専用バス」などを挙げている。
集計は、26日午後7時からと12月5日午前10時から、ともに駒ケ根市の駅前ビル・アルパで開く中間報告会で紹介する。