日本のメーカーが製造している若者に人気のエヴィスジーンズ。どういう訳かこれとそっくりのジーンズが今、韓国で大量に販売されています。ロゴやタグまでそっくりです。JNNが韓国側業者を直撃したところ、彼らは驚くべき主張を展開しました。
カモメのマークで有名な大阪のジーンズメーカー、「エヴィス」。値段は1本2〜3万円と決して安くはありませんが、履き込むほどに独特の風合いを出すと人気です。
デビッド・ベッカムが履いて話題になるなど、海外からも高い評価を受けていますが、メーカーは頭を痛めていました。韓国で大量のコピー商品が売られているというのです。
「今から偽者の調査で韓国に行くのです」(エヴィス社員)
現地調査へ向かう社員とともに、私たちも韓国へ飛びました。韓国の首都・ソウル。早速、コピー商品を売っているという店へと向かうと、壁にはトレードマークと「EVISU」の文字。店内には大量の商品が並んでいます。
「デザインはまんまですね。ただ、生地とかはぜんぜん別物」(エヴィス社員)
ジーンズのポケットにはOSAKAの文字が。
「ショックですよ、正直」(エヴィス社員)
「明らかにコピー商品だ」と話すエヴィス社員。しかも、値段は日本の半値以下です。改めて言いますが、これは日本のエヴィスのチェーン店ではありません。
ホテルに戻り、購入したジーンズと本物を比べてみると、えびす様の顔のデザインはほぼ一緒。カモメのマークもロゴもやっぱりほとんど同じです。
「完全な偽者になります」(エヴィス社員)
エヴィスそっくりのジーンズを販売している店は韓国内に60店舗以上あり、年間の売上高は50億円以上に上ると言います。韓国版エヴィスがここまで堂々と商売ができるのにはわけがありました。
マークやロゴなど、日本のエヴィスが考案したデザインがそっくりそのまま韓国の特許庁に商標として登録されていたのです。
その夜、私たちはジーンズのタグを頼りに製造販売会社を訪ねました。
「非常によく似たデザインを使っているが?」(記者)
「ライセンスなどの関係はありません。商標については、別に韓国での権利を持っている人がいて、その人と契約して現在使用しています」(会社幹部)
この幹部によると、商標の権利を持っているのは「アン・ビョンチャン」という人物で、会社はアン氏とライセンス契約を結び、商標を使用しているそうで、それ以上のことは話せないと言います。果たして韓国版エヴィスはどうやって生まれたのか、私たちは商標の権利を持つアン・ビョンチャン氏の自宅を直撃しました。
「商標登録されてるデザインはアンさんが考えたもの?」(記者)
「カモメのデザインは山の形のようなデザインですよね。あれは韓国の山の形を見て、偶然似たものができてしまいました」(商標の権利を持つアン・ビョンチャン氏)
「日本のエヴィスのコピーではなく、自分たちがオリジナルで考えたものという主張?」(記者)
「はい、その通りです」(商標の権利を持つアン・ビョンチャン氏)
アン氏はこの事業を4年前に始めたと言い、さらに持論を展開します。
「もちろんコピーもなければいけませんよね。本物を模倣してそれが発展してまた本物になるのではありませんか?」(商標の権利を持つアン・ビョンチャン氏)
「インスパイアを受けて別のものを考えるのはクリエイティブな事だが、アンさんのしている事はそっくりそのままただ単に韓国で登録してるだけでは?」(記者)
「このえびす様の顔のデザインは、『ジンロ』という韓国の焼酎の瓶に以前描かれていたデザインととても良く似ているんですよ。だから私は日本のエヴィスがコピーしたんじゃないかと逆に聞きたいです」(商標の権利を持つアン・ビョンチャン氏)
「常識的に見れば盗用だと思うが これはアンさんのオリジナルではないと思うが?」(記者)
「偶然の一致ではなくて、コピーじゃないかとあなたはおっしゃいますが、それは絶対違います」(商標の権利を持つアン・ビョンチャン氏)
アン氏は結局、最後まで「偶然の一致だ」と主張しました。韓国でも外国の著名な商標は本来、登録できません。大阪の本家エヴィスは25日、韓国の会社に対し、デザインの使用差し止めなどを求めて韓国の裁判所への提訴に踏み切りました。(25日16:22)