ひき逃げ当て逃げなど飲酒運転による事件が全国で相次いでいる。広島でも大学生5人が飲酒運転をしていたとして道交法違反などの容疑で、県警が広島区検などに書類送検した。運転していたのは1人。残り4人は同乗していただけだが、道交法の酒気帯び運転車両乗用禁止規定に該当する。運転しなくても、飲酒運転の車両に乗っていただけでも違反なのだ。同乗者4人が送検されるのは県内で過去最多という。
今月1日、南区の市道で定員を1人超える軽乗用車を警察官が発見し、職務質問で発覚した。運転していたのは東広島市西条町の大学2年の男性(20)。同乗していたのは、同市の大学2年の男性(19)2人と、呉市の大学3年の女性(20)2人の計4人。
5人は友人で、1日午前0時ごろから同3時過ぎまで、中区の居酒屋でビールなどを飲んだ。駐車場の車内で2時間ほど休憩をとり、女性の自宅へ向かった。運転していた大学生は「少し休んだら大丈夫だと思った」と供述したという。
県警交通企画課によると、昨年10月から今年9月まで、飲酒運転の検挙は741件あった。前期の1968件に比べ、1227件減ったが根絶には遠い。年末の忘年会シーズンが近づく中、県警は取り締まりを強化する。県警は「大学生の件でも、同乗していた誰かが『これ、いけんのじゃないん』と言うべきだった」と、注意する勇気を呼びかけている。【矢追健介、寺岡俊】
毎日新聞 2008年11月25日 地方版