■所持品血痕、3被害者DNAと一致
元厚生次官ら連続殺傷事件で、銃刀法違反容疑で逮捕された無職、小泉毅(たけし)容疑者(46)が警視庁と埼玉県警の捜査本部の調べに「最初は大臣をやろうと思った」と供述していることが25日、分かった。元次官だけでなく、現役閣僚や閣僚経験者を狙う連続殺害計画を立てていたことが判明。捜査本部は準備を進めたものの警備が厳しいことなどから断念したとみており、自宅から押収したパソコンや宅配便の配達伝票などを精査し、閣僚の経歴や住所を調べた形跡がないか捜査を進める。
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これまでの調べに対し、小泉容疑者は妻が刺された吉原健二さん(76)と夫妻が殺害された山口剛彦さん(66)の住所について「図書館で職員録を閲覧した」と供述している。閣僚の住所は市販の国会要覧などにも記載されており、次官経験者などよりも容易に住所を入手できた可能性が高い。
小泉容疑者は警視庁本部に出頭した理由について、「警備が厳しくなり逃げ切れないと思った。警視庁に出頭すれば事件を処理してくれると思った」などと供述。現役閣僚の自宅は24時間態勢で警察官が警備しているほか、外出時にSP(警護官)が警護するなど警戒が厳しい。
こうしたことから、小泉容疑者は当初計画した現役閣僚や閣僚経験者の襲撃を断念し、狙いを元次官に切り替えたとみて調べている。
また小泉容疑者は出頭直前に、複数の報道機関のホームページに犯行声明ととれる書き込みをしている。捜査本部は、小泉容疑者が自宅パソコンを使って閣僚や元次官らの経歴を調べたとみて、押収したパソコンの解析を急ぐ。
一方、小泉容疑者の自宅から、複数の厚生労働省の事務次官経験者の名前を書いたメモや、自宅に印の付いた地図が押収されたことが25日、分かった。
小泉容疑者は「厚生次官経験者数人と家族の計約10人の殺害を計画していた」などと供述しており、警視庁で関連を調べている。
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この事件で、小泉容疑者の所持品に付いた血痕を警視庁でDNA鑑定した結果、殺害された山口夫妻と、刺されて重傷を負った吉原靖子さん(72)のDNA型とそれぞれ一致したことが25日、分かった。
小泉容疑者が連続殺傷事件に関与した疑いが強まったとして、埼玉県警と警視庁は近く合同捜査本部を設置、山口さん夫妻殺害の殺人容疑で再逮捕する。埼玉県警は同日、殺人容疑で小泉容疑者が17〜19日にレンタカー会社から借りていた軽自動車の捜索を行っている。
警視庁によると、小泉容疑者が22日に出頭した際に乗っていた軽自動車から、血の付いた刃渡り20センチのナイフや軍手、作業服、スニーカー、段ボール箱を押収。小泉容疑者が連続殺傷事件への関与を認める供述をしていたことから、所持品が犯行に使われたとみて、鑑定を進めていた。
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