自治体「職員足りない」 業務増 休職相次ぐ東北各県と仙台市の職員数、休職・休業職員の数は表の通り。自治体の職員数は条例定数を上限にしているが、各県市とも行財政改革の観点から可能な限り職員数の削減に取り組んできた。 これに拍車を掛けたのが国の集中改革プランだ。「2005年4月から5年間で地方公務員を6.3%削減する」との目標を設定。すべての都道府県と市町村に削減計画を提出するよう求めた。 当時、全国では鳥取県と千葉県我孫子市が「地方分権を進める中で国が自治事務に口を差し挟むのは筋違い」(片山善博・前鳥取県知事)と拒否したが、東北6県と仙台市は4.6―9.7%の削減計画を国に示した。その結果、地方自治の現場で人員不足が顕在化するようになった。 各県市の人事担当者は「職員が減っているのに全体の仕事量はむしろ増えている」と口をそろえる。保健医療制度の頻繁な変更や、国から要請される各種調査が新たな負担になっているという。 南東北のある町の人事担当者は「国は、職員を減らせと要求する一方で統計調査などの業務は増やそうとする。現場の負担は重くなるばかりだ」とこぼす。 長期休職する職員も少なくない。宮城県では07年度、病気を理由に休職した職員が46人と10年前に比べ31人増えた。育児休業も含めた休職・休業職員の割合は、東北では岩手が最も大きく4.4%だった。 宮城県職員厚生課は「職員数が削減する中で業務量が増大、複雑化し、余裕がなくなって病気になる職員が増えている」と分析する。職場に復帰しても回復具合によっては通常業務に就けず、「隠れ減員」になるケースもあるという。 臨時職員やアルバイトで欠員を補充しようにも、自治体の場合、個人情報を扱う部署や高度な専門知識を必要とする業務は任せられない。 福島県人事課は「職員数の余裕がない。以前と比べて人員のやりくりが難しい」、秋田県人事課は「地方交付税が減っている。必要な財源を確保するには少数精鋭で頑張るしかない」と頭を痛めている。
2008年11月25日火曜日
|