医療や行政の関係者らが参加して地域医療の問題点を話し合う「地域医療を考える県民フォーラム」が24日、鳥取市内のホテルで開かれた。参加した約400人は医師不足の現状や打開策についての講演、パネルディスカッションに耳を傾けた。
厚生労働省の栄畑潤・大臣官房審議官が「日本の医療事情について」と題し基調講演。「現在の医師不足問題は、産婦人科や外科などのリスクを伴う診療科の医師数が年々減少している『診療科の偏在』と、各都道府県や市町村で医師数にばらつきがある『地域の偏在』の“二つの偏在”によって生じている」と指摘。「研修を終えた医師が各地域で働くようなシステム作り、産科医や外科医のリスクを減らす法整備などの包括的な取り組みが必要」と述べた。
パネルディスカッションには、藤井喜臣・副知事や能勢隆之・鳥取大学学長ら5人が参加。兵庫県丹波市の県立柏原病院の取り組みが紹介され、本当に必要な人が受診できるよう、気軽なコンビニ感覚での受診をやめるよう地域で取り組んだところ、時間外受診が約半分になったという。また、1カ月で20日以上病院に通っている患者が実際は月2回程度の診察で十分だったケースなどが報告され、現在の医療体制では、患者の需要に応えられるだけの医師がおらず、住民の協力も不可欠であることが強調された。
行政と医療の相互の取り組みに関心がある男性会社員(32)は「行政、医療、住民がそれぞれ動かないといけないことがよく分かった」と話していた。【遠藤浩二】
毎日新聞 2008年11月25日 地方版