Flash CatalystやFlexBuilder 4の新機能、Flashチャットをデモ
アドビはデザイナ/プログラマ協業で生産性を上げるエージェント
2008/11/20
米アドビシステムズは11月18日、サンフランシスコにて開催中のAdobe Max 2008 North Americaの基調講演で、RIA開発における「Design(デザイン)」「Development(デベロップメント)」「Deployment(デプロイメント)」のワークフローのデモを行った。
中心となった登壇者は、米アドビシステムズのベン・フォルタ氏とティム・バンテル氏。ボスからRIA開発の指令を受けた“エージェント”として黒スーツに身を包み、同社製品のスぺリシャリストたちと開発を進めていくという一風変わったデモとなった。
最初のテーマは「Design」。ここでは、先月発表があったAdobe Creative Suite 4の2製品「Flash Professional」「Photoshop」の機能を紹介するとともに、RIAのユーザーインターフェイス(以下、UI)をデザインするデモを行った。
デザインしたUIをアプリケーションにするには、開発者がUIをコンポーネントとして扱えるようにする必要がある。そこで登場したのが、インタラクションデザインツールの「Flash Catalyst」。Flash Catalystはまず、CS4製品群でデザインした複数のUIをインポートし、サムネイルで管理する。次にタイムラインを使って、それらにコンポーネントとしての振る舞いを定義する。
それぞれのコンポーネントは、MXMLのサブセットであるFXGファイルとして保存され、FXPファイルとしてパッケージングして「FlexBuilder 4」(コードネーム「Gumbo」)にインポートできる。FlexBuilder 4へインポートしてからは、プログラマが、そのFXGを基にロジックを追加するということだ。
次のテーマ「Development」では、FlexBuilder 4のプレビュー版で、上記のFXPファイルを実際にインポートして表示するデモが行われた。
またFlexBuilder 4では、PHPや「ColdFusion」(アドビシステムズのWebサイト作成マークアップ言語、CFMLを利用できるWebアプリケーションサーバおよびフレームワーク)、SOAPをはじめとするWebサービスなどのデータソースとクライアントのFlexを少ないコードで簡単に連携するCDM(Client Data Management)機能や、データソースとの通信を表示するネットワークモニタ機能、Flexのテーマ(テンプレート)を適用できる機能などもサポートするという。
米ゼンドが提供するPHPフレームワーク「Zend Framework 1.7」でもAMF(Action Message Format)通信をサポートする。新しいAMFコンポーネントは、Zend FrameworkサーバサイドのPHPコンポーネントと、クライアントサイドのFlexコンポーネントの間のデータ通信を最適化するという。
ColdFusionについても、Eclipseベースの新しいColdFusion用IDE「Bolt」(コードネーム)を発表。今回のデモでは、Bolt上でのCFMLのコード保管や利用可能なデータソースの自動表示が行われた。
「Development」の講演途中では、プロジェクト「Alchemy」(コードネーム)も紹介された。「Alchemy」は、C/C++で作成したコンポーネントのコードを、ツールを使ってActionScropt 3のコードに変換し、SWF/SWCファイルにコンパイルするもの。Alchemyのデモでは、Cで作成した任天堂の「スーパーマリオブラザーズ」のエミュレーターを変換したものがFlash Player 10上で動作していた。
最後の、完成したアプリケーション(SWFファイル)を配信する「Deployment」のテーマでは、SWFファイルにテキスト検索の要素を追加する仕組みと「Flash Media Server 3.5」が紹介された。
Flash Media Server 3.5の紹介では、ストリーミング機能「Dynamic Streaming」に主眼が置かれ、Webカメラによるライブ映像のデモが行われた。また、Flash Media Server 3.5はRTMFP(Real-Time Media Flow Protocol)サーバ機能も有するという。RTMFPは、Flash Player 10とAIR 1.5から実装された新しいP2Pプロトコルで、クライアント同士が直接通信するため、従来より遅延の少ない通信が可能だという。RTMFP通信中はサーバ経由での認証を必要とするため、「Stratus」というサービスを使う。デモでは、Stratusを使ったWebチャットのSWFアプリケーションがFlash Player 10上で動作していた。
一連のワークフローで強調されたのは、「生産性を上げる」ということ。「アドビシステムズの新製品や新機能はデザイナや開発者、そしてコンテンツ管理者の生産性をより一層上げるエージェントである」という姿勢をアピールするAdobe Max 2008 North America2日目の基調講演だった。
講演後には、Flash CatalystとFlexBuilder 4の評価版が配布された。Adobe Max 2008 Japan参加者にも配布予定だという。
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