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620グラムの赤ちゃん出産を本に 佐久出身の宮沢さん

11月25日(火)

620グラムの長女を出産した体験を本にまとめた宮沢さん

 体重1000グラム未満の「超低出生体重児」を41歳の時に出産した佐久市出身の映像作家宮沢あけみさん(45)=川崎市=が、「ミラクルBaby(ベイビー) 620gのそらが教えてくれること」を出版した。出産時の混乱や育児の苦労、その一方での喜びなどを記録を交えて再現。元気に3歳になった長女の様子を伝え、「同様の境遇の人たちに勇気を与えられれば」と話している。

 そらちゃんを出産したのは2005年3月。定期健診で、羊水がなくなって胎児に危機が迫っていることが分かり、川崎市内の病院で緊急の帝王切開手術を受けた。妊娠して26週と4日。出生体重は620グラムだった。

 突然の出産での精神的混乱や、赤ちゃんの小ささへの不安などが重なった。しかし、「母体が持たないことを知って自分から出てきてくれたんだと思うと、母としてできる限りのことをしてあげようと心に固く誓った」。

 そらちゃんは新生児集中治療室(NICU)に入った。宮沢さんは搾乳した母乳を手に毎日、バスで病院へ。裸の胸にそらちゃんを抱いて肌を合わせる「カンガルーケア」も重ねた。

 「な、なんと!そらが、おっぱいをなめた!!」(生後32日)、「やりました!1800g」(生後116日)…。NICUに置いた「面会ノート」には、日々の喜びや成長を細かくつづった。そらちゃんは約130日で退院。療育センターに通うなどしてゆっくりながら元気に成長し、今は幼稚園に通う。

 「小さく生んだことで、自分を責める母親も多い」と宮沢さん。それだけに「同じ境遇の家族の不安を取り除くために、私の体験を世の中の多くの人に伝えなくてはいけないと思った」と強調する。関係者に配慮し、そらちゃん以外は仮名とし、肩書なども一部事実とは変えたが、「その時々の自分の気持ちはそのまま表現した」と話している。

 四六判、253ページ。1600円(税別)。問い合わせは彩流社(電話03・3234・5931)へ。