「ライダーハウス」としてオープンする予定の寝台特急列車「なは」の車両=阿久根駅構内
阿久根市の肥薩おれんじ鉄道阿久根駅構内に、使われなくなったJRの寝台特急「なは」の車両を使った簡易宿泊施設が、12月中旬にもオープンする。「阿久根を元気にしよう」と様々な街づくりに取り組むNPO法人が運営する。駅前を開かれた交流の場にするのが狙いだ。(周防原孝司)
「なは」は京都―熊本間で運行していたが、今年3月15日のJRダイヤ改定で廃止になった。04年に九州新幹線新八代―鹿児島中央間が開業するまでは、当時のJR鹿児島線阿久根駅を通って西鹿児島(現鹿児島中央)駅まで運行され、阿久根市民にも思い出深い列車だという。
地元の20〜40代の若者らでつくるNPO法人「Big up(ビゴップ)」(大友恵子理事長)が、「なは」の廃止を知り、車両を地元に残し、保存しつつ再利用できないかと考え、バイクや自転車で旅をする人が安く宿泊できる「ライダーハウス」にする計画を立てた。
同法人が2両を購入。車両は今月中旬までに、JR熊本操車場から出水市の肥薩おれんじ鉄道野田郷駅まで鉄路で、その後は阿久根駅まで陸路で輸送された。同駅構内にレールを敷いた土台を造り、その上にすでに設置された。
2両のうち1両に2人部屋11室を造り、もう1両は談話室として活用する。青い車体など外観はなるべく原形のままで、約1カ月かけて内部の改装や水道や電気などの設備を整える予定だ。
料金はまだ設定していないが、素泊まりで1千〜2千円程度にして、食事や風呂などは市内でしてもらい、地域の活性化につなげていきたい考えだ。
大友理事長は「ライダーハウスをみんなで作り上げる交流の場にしていきたい。駅に人が行き交う拠点にしていきたい」と意気込んでいる。