大阪府は医学生らを対象に、府内の周産期や救命救急分野の病院に勤務することを条件に返済を免除する奨学金制度を来年度から導入する方針を固めた。医師不足が深刻化する中、既に39道府県が同様の制度を導入。近畿2府4県では大阪府が最後となり、府県間の「医師争奪」をさらに激化させそうだ。
府内の大学の医学生と臨床研修医が対象で、支給開始は医学部5年生からを想定。府外の医学生でも、府内の高校を卒業していれば資格が得られる。2年間の臨床研修の終了時まで給付し、月額20万円を検討している。
奨学金は貸与だが、周産期母子医療センターや救命救急センターなど周産期、救命救急、小児救急を扱う府内63の拠点病院のいずれかに一定期間、勤務すれば返済を免除する。来年度から3年間募集し、90人程度に給付する方針だ。
大阪府内の医師は2万2078人(06年12月現在)で全国2位。地元勤務を条件に返済を免除する奨学金制度は、医師不足が深刻な地方から導入が進んだが、長時間勤務や訴訟リスクの高さが指摘される救命救急や周産期などの分野は、大阪府でも必要な医師数を満たしていない。府のほか、東京都、神奈川県など5都県も来年度からの導入を予定している。【石川隆宣】
毎日新聞 2008年11月25日 2時30分(最終更新 11月25日 2時30分)