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ネットウォッチング

切込隊長vsひろゆき直接対決! 認識の違い示す

2ちゃんねる名誉毀損訴訟第5回口頭弁論

渋井 哲也(2007-09-03 19:42)
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 インターネットの掲示板での書き込みが名誉毀損にあたるなどとして、「切込隊長」として知られている会社役員の山本一郎氏(34)が、巨大匿名掲示板「2ちゃんねる」の管理人、ひろゆき、こと西村博之氏(30)に対して損害賠償等を求めている裁判(山﨑勉裁判長)の第5回口頭弁論が3日、東京地裁で開かれた。

 原告の山本氏、被告の西村氏ともに出席し、証言台に立ち、かつて“盟友”とされた2人が直接対決。互いの認識の違いを示す格好となった。

匿名掲示板「2ちゃんねる」

 午後2時10分過ぎ。被告の西村氏がいない中で、山本氏の証人尋問が始まったが、数分を過ぎてから、西村氏が法廷に到着。傍聴席が「おぉー!」とどよめいた。

 その際、原告側の小倉秀夫弁護士は「(被告への尋問が先になるように)順番を変えたほうがいい」と訴えたが、西村氏が「原告からどういうことを主張したいのかを知りたい」と述べたことで、山本氏への尋問が先になった。

 「2ちゃんねる」との関係について聞かれた山本氏は「商業化を担当していた」と述べ、「(誹謗中傷を含む)反社会性な面と、会社の経営方針の違い」によって、「2ちゃんねる」から離れることになったと答えた。

 その際、西村氏の誹謗中傷対策について、「あまり積極的ではなかった」と主張した。それに対して、西村氏からその証拠を求められ、雑誌のインタビューやメールでのやりとりを指摘し、証拠として提出することになった。

 「2ちゃんねるの管理人は、建前上は西村さん。だが、あなたが管理しているようには見えない」

と山本氏は述べた。

 また、山本氏に対して「狂気、キチガイ、精神疾患」などと書かれていることについて、山本氏は、「(精神疾患などは)ございません」と述べた。これに対して、西村氏は、「『キチガイ』という言葉は大臣も使っている。また、『キチガイ』という言葉を使ったロックバンドもある。『キチガイ』と呼ばれて喜んでいる人もいる。状況次第だ」と反論。山本氏を「キチガイ」と書いている内容は、「すでに削除していますよ」と語り、『キチガイ』という言葉が、即、名誉毀損にはならないと主張した。

かつての“盟友”が直接対決した東京地裁(撮影:渋井哲也)

 一方、西村氏は、2ちゃんねるの管理(削除やメンテナンス)について、「300~400人が関わっている」と言い、そのうち削除する権限がある人は「100人」程度で、そのうち、フルネームを把握しているのは「10人ぐらい」と述べた。

 各板の方針については「僕が決めている」と話し、削除基準については、「面白いかどうか」であり、「誹謗中傷かどうかは別問題」と話した。削除ガイドラインに、企業の担当者名とメールアドレスを求めることについては、「真実性を担保するため」とした。

 西村氏が山本氏へ尋問する際、挑発するようなジェスチャーをしたが、裁判長には見えなかったのか、注意がなかった。西村氏からの尋問が終わりそうになると、山本氏は「え?もう終わり?」と拍子抜けした様子を見せたが、追加の尋問として、西村氏は、山本氏が西村氏について「禿げ」などと書いたことについて追求した。

 すると、山本氏側は書いたことは認めたが、小倉弁護士は、「その書き込みが名誉毀損かどうかを原告に聞くことについて、それは意見になる。今回の訴訟では、(山本氏に対して「禿げ」と書かれている部分は)含めていない」と述べた。傍聴席からは笑いが起きた。

 また、一般的に名誉毀損のような書き込みについては削除すべきではないか、との質問に西村氏は、「僕が決めることではない」と答えた。続いて「(名誉毀損かどうかの)通常人の判断基準は持っていないのか?」と聞かれた際は、「(西村氏について「禿げ」と書く)山本さんと同程度だと思う」と語った。

 山本氏の訴えによると、巨大匿名掲示板「2ちゃんねる」の「投資一般」板で、誰もが閲覧可能な状態にある中で、匿名により誹謗中傷がされている。そして、被告の西村氏に対して、当該書き込みの削除と、今後、「山本一郎」や「切込隊長」という文字列を含むスレッドを立てさせないように求めている。

 なお、今回、山﨑裁判長は証人尋問中に居眠りをしてしまった。

 居眠りをしたとしても、証言は書記官が記録したり、録音しており、その内容は調書として整理される。記録自体には問題はない。たしかに、証言の内容が細かすぎたし、インターネット用語や2ちゃんねるの話があったので、裁判長にとっては難しい講義を聴いているような感じだったのかもしれない。傍聴人も何人かは寝ていた。

 次回の口頭弁論は10月22日午後1時30分から。

  ◇

 閉廷後、山本氏は記者の質問に以下のように答えた。

──西村氏と会ったのは?

山本氏 1年2カ月ぶりですね。

──きょうの印象は?

山本氏 いつもと変わらないですね。

──十分に主張できたか?

山本氏 きょうはどこが問題なのか確認するためだった。

──主張を聞いてどう感じたか?

山本氏 彼が本当に管理しているか。彼の主張はわからなくもない。だが、一般社会では通じないことを今後、明らかにしたい。

──今後は?

山本氏 結果がどうなろうと、高裁にいくのでは?

  ◇

 一方、西村氏も記者の質問に以下のように答えた。

──きょうの印象は?

西村氏 必死だな、って。

──主張は言いましたか?

西村氏 聞かれたことに答えただけですよ。

──相手の主張を聞いてどんな感想ですか?

西村氏 どんな証拠を出してくれるか楽しみです。僕自身、論点がなんなのか分かっていない。

──(知り合いだから、面白いかな、と言っていたが)きょうは面白かったですが?

西村氏 もうちょっと面白いことになるかなと思っていたが、面白くない人になっていた。残念な感じ。

傍聴人 きょうはよく来ましたね

西村氏 具体的な日にちと時間は、オーマイニュースで見ました(笑)。

──次回は裁判所に来ますか?

西村氏 微妙ですね。

 

(ユナイテッド・フィーチャー・プレス)

 

【編集部注】 一部加筆しました。(2007/9/04 2:00) 



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