ページを保存するインターネットアーカイブという団体について、その問題を考察する。更新日:2003年03月15日
以下、特に断りがなければ、「インターネットアーカイブ」とは特定の団体(インターネットアーカイブ)を指すことにします。
浅見秀雄氏(氏のホームページはこちら)がいろいろな問題点を挙げています(「インターネットアーカイブサービスの問題点」。リンク集にも載せています)。それを読んでいきますと、次のような事実が浮かび上がります。
1はかなり問題があると言えるでしょう。具体例をしめすのであれば、プライバシー侵害をしたページが、被害者の訴えによって、削除されたとしても、アーカイブには残ってしまう可能性があるのです。たとえ、非公開にできるとしても、2の問題が待ち受けています。今のところ、プロバイダが対応せざるを得ないかも知れません。
また、著作権など、法的な問題も解決しているとは言えません。
さらに、過去のホームページを公開された人で、古い誤ったデータをそのまま載せてもらうのは困るという人もいるでしょう。他にも、昔の恥を見せたくないなどの理由から、公開されると困るという人もいるかも知れません。
ちょっと、分かりやすくするために、今までに出てきた問題を箇条書きにしてみます。
このように見ていきますと、なるべく、簡単に、スムーズに非公開にさせる方法がインターネットアーカイブに要求されているかと思われます。
さて、以上の問題に対し、インターネットアーカイブがどのような解決方法を示しているのかを見ていきたいと思います。
最も、解決できそうな方法は、インターネットアーカイブに、ページを非公開にするよう依頼することです。次のページへ言って、自分のページを公開させないようにする方法を学びましょう。>>インターネットアーカイブの「Removing Documents From the Wayback Machine(http://www.archive.org/internet/remove.html)。FAQでも教えてくれます。
また、学者や研究者の方たちの中には、最新の情報のみを表示させたいという人もいるかも知れません。方法は示していませんが、ちゃんと対応すると、インターネットアーカイブは主張しています。
しかし、この非公開にさせる方法は、時間がかかるおそれがあります。
著作権に関しては、インターネットアーカイブ自身は、FAQで、著作権を違反していないことを主張しています。これは、裁判で明らかになるでしょう。
以上のように、現時点では、すぐに解決されそうにない問題があります。
それでは、今のところ、サービスを否定していくしかないのでしょうか。
これは何を優先させるかによって、答えが変わっていくでしょう。つまり、以下の3つのうち、何を優先させていくかです。
2の必要性については、参考資料(お役立ちリンク集)を参考にされたし。
もし、仮に2が大事だというのであれば、サービスを肯定し、それに沿って、法律、倫理を形成していく必要があります。3が優先されるのであれば、サービスの存在そのものを否定していくことになるかも知れません。あるいは、法律を守りつつ、制限されたサービスを提供と言うことになるでしょう。
「リンク切れ」、「アドレスの変更」を防げるから2を優先させるという人もいるかも知れませんが、法律は遵守するべきです。そうなると、微妙な問題です。
さらに、アメリカと日本の法律は違います。これがより一層、問題を複雑にするかも知れません。
できるならば、倫理が形成されていくのがよいかと思います。しかし、議論は活発というわけではありません。
インターネットアーカイブは単純な問題ではないと思われます。私はむしろ、クローン技術のように、必要とされながらも、倫理や法規制が成立していない分野であると思っています。
クローン技術は実際に使えるところまできています。後は、研究者や会社が、一般社会から利用の許可を得るだけなのです。ただ、法規制は作り上げようとしていますが、「生命をコントロールしている」、「神の領域に立ち入っている」とクローン技術を人に適用させることに反対する人もいます。つまり、倫理や宗教が障壁となっているわけです。そのため、人に対するクローン技術は待ちぼうけをくっているのです。
インターネットアーカイブはどうでしょうか。クローンと違う点は、すでに本格的なサービスが始まってしまったと言うところです。しかし、これも法律問題が解決されていないという点では、クローンと同じように待ちぼうけをくっています。
インターネットの世界では、予測できない速さで技術が進歩しています。私たちは、技術ができあがってから、それを利用すべきでないのか、許可すべきかどうか議論しているのです。今回のインターネットアーカイブもその一例でしょう。それがインターネットでは、日常的な場面となっていくのかもしれません。(終り)