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露原潜事故20人死亡 日本海航行中、放射能漏れなし 消火装置の誤作動

11月10日16時56分配信 産経新聞


 【モスクワ=佐藤貴生】ロシア太平洋艦隊所属の原子力潜水艦が日本海を航行中、艦内で消火システムが誤作動する事故が起き、乗組員ら20人が死亡、21人が負傷した。イタル・タス通信などが伝えた。露海軍当局は艦体に破損はなく、内部の放射能レベルも正常値が保たれており、放射能漏れなどは起きていないとしている。

 原潜は事故後、ロシア極東沿海地方の基地に向け自力で航行して向かった。事故が起きた海域や原潜の名は明らかにされていないが、国営ロシア通信は製造工場関係者の話として、日本海で10月下旬から航行試験を行っていた原潜「ネルパ」だと伝えた。事故現場については、民間テレビNTVが、ウラジオストク東方のウラジーミル湾付近と報じた。

 露大統領府によると、メドべージェフ大統領はセルジュコフ国防相から事故の報告を受け、今後とも事態の推移を随時報告するよう命令したと伝えた。

 ロシア通信によると、事故原因を調べている連邦検察捜査委員会のマルキン報道官は9日、死者の肺の中からフロンガスが検出されたと述べた。消火装置から出されたフロンガスを吸い込んだため中毒症状を起こした可能性があるという。

 事故は8日に発生。艦内で普段から行っている検査を実施したところ、消火システムが誤作動する事故が発生したとされ、艦首部分で起きたとの情報もある。事故を受けて検査は中断され、寄港命令を受けて基地へと向かった。ロシア通信によると、寄港先は同艦隊の基地があるウラジオストク近郊のボリショイカメニとみられる。負傷者21人は別の艦艇に引き渡され病院に向かっている。

 イタル・タス通信によると、原潜の乗組員は総勢208人で、うち81人が海軍所属の兵士ら。原潜内部での検査は製造工場の職員が乗り込んで行うケースもあり、こうした職員が適正な手順を踏まないで検査を行った可能性もある。

 ロシアでは2000年8月、北方艦隊所属の原潜「クルスク」が沈没して乗員118人全員が死亡する事故が起きた。

                   ◇

【用語解説】ロシア太平洋艦隊

 英国際戦略研究所の「ミリタリー・バランス」08年版によると、潜水艦は原潜など23隻(戦略型4、戦術型19)、主要水上艦(巡洋艦、駆逐艦、フリゲート艦)9隻、沿岸警備艇約25隻を保有。司令部は沿海州の軍港ウラジオストク。活動範囲は太平洋からインド洋全域にわたる。

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最終更新:11月10日17時3分

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