まずは上の写真をご覧頂きたい。時刻は16時58分、徳山駅に停車中の岡山始発博多行き0系「こだま659号」を、500系「のぞみ29号」が抜き去るシーンだが、時代とともに新幹線の顔もずいぶん変化したなあというのが率直な感想ではなかろうか。だが両新幹線は生い立ちが異なるのだ。
0系は旧国鉄技術陣を中心とした純和風仕立ての初代新幹線だが、500系はドイツ人デザイナー、アレキサンダー・ノイマイスターが手掛けたもの。印象が異なるのは当然だ。両者を車に例えたなら、0系はクラウン、500系はポルシェといったところだろう。それは外観ばかりではない。ポルシェは速いけれど、車内は狭く居住性は悪いことも500系との共通点だ。そのため子どもたちからは絶大な人気を誇る500系「のぞみ号」だが、この秋、0系新幹線の引退とともに「のぞみ」の運用から外れ、「こだま号」になるのである。