「♪タンタラタンタン…タン」。
新大阪駅を発車した途端、車内スピーカーから出発を告げるチャイムが流れた。その懐かしい旋律に私は思わず聞き惚れてしまった。
現在、1日10本の0系新幹線「こだま号」が、最後の定期運行に就いているが、その全列車が山陽新幹線オリジナルのフレッシュ・グリーン塗装から、開業当時そのままのアイボリーホワイトと新幹線ブルーのツートンカラーに塗装し直された。それだけでも懐かしいのに、車内のチャイムも2003年まで使われていた懐かしのメロディーが復活したのである。私は写真が本業なので、もちろんスチールカメラは常に携行しているが、この時ばかりは、音も録音可能なムービーカメラを持参しなかったことが悔やまれてならなかった。
そして車内を歩いてみれば、公衆電話やトイレ、灰皿など、0系ならではの懐かしの備品がそこここに点在していた。灰皿といえば、今や喫煙可能な列車は風前の灯となったが、この0系新幹線は古いだけに喫煙車の比率も高い。0系こだま号は6両編成だが、その内2両が喫煙車なので、33%の喫煙車率だ。けれども、それもこれも11月30日まで。0系こだま号の終焉とともに、新幹線の喫煙車は激減し、愛煙家にとってはより厳しい現実が待っている。