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歌舞伎俳優・中村勘三郎(53)が23日、来年9月に行われる平成中村座の名古屋公演を、名古屋城内で行う構想をぶち上げた。江戸時代の芝居小屋の雰囲気を再現した東京・浅草寺境内仮設劇場で上演中の「隅田川続俤 法界坊」(25日まで)が舞台上の客席「羅漢(らかん)席」を設けるほど大盛況なこともあり、09年以降の上演も徐々に具体化。「ご当地ならではの『中村座』を見せたい」と思いを語る。
勘三郎の夢を形にした平成中村座の、名古屋城下での上演が実現しそうだ。勘三郎は勘九郎時代の2000年、江戸時代の芝居小屋の雰囲気を再現した「平成中村座」を立ち上げ、東京・浅草をはじめ米ニューヨークや独ベルリンなど海外でも上演し評判を呼んだ。
現在、来年9月の名古屋公演の計画が進められており、仮設劇場の有力地として名古屋城内が浮上し、交渉を進めていることを明かした。
これまで城内では薪能などは行われているが、歌舞伎の本格公演は異例。江戸時代・尾張藩の居城として栄え、日本3名城のひとつに数えられる同城だけに、「―中村座」にはピッタリの場所と言える。
勘三郎は「ご当地ならではの『中村座』ができたらいいね」。演目は現在上演中の「隅田川続俤 法界坊」の予定で、名古屋城の景観を生かしたクライマックスシーンも期待できそうだ。
東京・浅草寺内で10月にスタートした「―中村座」は千秋楽間近。連日の大入りで、今月15日からは舞台上に客席を作る「羅漢席」と呼ばれる桟敷席も用意。これも勘三郎のアイデアで、江戸時代にはよく見られた光景だという。勘三郎は「お客さんが来てくれるからこそ。出演者のような顔をして座ってる。熱気を共有できるうれしさがありますよ」と満足げ。今回は初の2か月公演で、10月は「仮名手本忠臣蔵」、11月は「―法界坊」を上演。「古典中の古典とアバンギャルド。静かな拍手と熱い拍手を両方体験して、本当にうれしい」と手応えを感じている。
10年秋には大阪、11年は米ニューヨークでの公演も計画中。12年には浅草で5~6か月間のロングランを行う構想もある。勘三郎は「北海道でも九州でも、どこへでも行きますよ。いつかは常設になるのが夢」と語る。10年春から歌舞伎座が建て替えに入ることもあり、「中村座」が今後の勘三郎の活動の柱となる。
◆雰囲気を残して ○…10年4月を最後に建て替えに入る歌舞伎座については「(新劇場が)においの残った小屋になってくれれば」と雰囲気面での継承も希望。09年1月の歌舞伎座さよなら公演では、夜の部「春興鏡獅子」「鰯売恋曳網」に出演。「古典の歌舞伎で主役をやらせていただく。今後も(古典と新たな試みと)両方やっていきたい」と語っていた。
(2008年11月24日06時00分 スポーツ報知)