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再び存続の危機…新たに8医師が辞表 大阪の阪南市立病院問題 (2/2ページ)
市長交代で“暗転”
10月に行われた市長選をきっかけに再び危機が到来した。岩室前市長を破った前副市長の福山市長が当選後、歩合給制給与の見直し検討に言及したからだ。
福山市長は副市長時代、市立病院の和歌山県立医大との関係修復などに当たっていたが、今年2月に解職された経緯があり、市長選でも岩室前市長の「大学からの派遣に頼らない医師獲得」を訴えたのに対し、「大学との連携による安定した病院運営」を訴え、当選した。初当選後の報道陣のインタビューで、歩合制の見直しに言及。「地域のためにやってくれるのなら歩合制でもいい」とも述べたが、結果として、給与引き下げ発言が1人歩きした。
これに反発し、福山氏の市長就任に合わせ医師8人が辞表を提出、再び病院運営に暗雲がたれ込めた。
「信用」の問題
辞表を提出した医師の1人は「給与(見直し)の話は二の次。『信用』の問題だ」という。この医師は自らのパイプで、別の医師を市立病院に招く努力を続けていたが、「今の給与体系を説明して紹介したのに、簡単に変わるなら信用がなくなる。特定の大学から医師を呼ぶのなら、地域医療のために来た人はいらないということにもなる」と憤りを隠さない。
市議会病院関連特別委員会の委員の1人は「医師の辞意は(給与体系見直しに言及した)当選後の報道が発端にはなったが、単に失言に始まったことではない」と指摘。つまり、岩室前市長が行った医師募集は大学医局と一線を画した施策で、これに応じた医師らは福山市長の方向転換に不信感を募らせているというのだ。福山市長は、医師の慰留を進めているが「話す条件が整っていない」と態度を硬化させている医師もおり、交渉は難航している。
辞表を提出している8人が退職した場合の病院収入は4割減と試算されており、このままでは病院が立ち行かなく恐れが現実味を増してくる。