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【書評】『竹島密約』ロー・ダニエル著 (1/2ページ)
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■「漢江の奇跡」の土台には
本書の著者、ロー・ダニエル氏は韓国人である。ソウルの生まれ、アメリカ、日本に留学し、現在は日本と韓国で言論活動をおこなっている。
ロー氏は多くの日本人政治家と関係者の回想録や覚書を読み、存命する人たちに証言を求め、日本語で執筆したのが、この著書である。戦後生まれのロー氏の達意の文章に読者はまず驚き、40数年前に活躍した日韓両国の政治家の面目、その願望、メンタリティーを見事に描き切っていることに感嘆しよう。
1965年の日本の首相は佐藤栄作であり、「竹島密約」を考案した日本側の政治家は河野一郎だった。
日本では最高、最長のいざなぎ景気がはじまろうという年であったが、アメリカ軍はベトナムの戦いに介入し、毛沢東がはじめようとしている文化大革命の全体像は皆目見当がつかず、インドネシアでは中国が支援する共産党のクーデターが瓦解しはしたものの、東アジアは不安、危険な状況にあった。
60年に韓国大統領の李承晩が下野を迫られたあと、61年に軍事革命によって大統領となっていた朴正熙は、日本との関係を正常なものにして、それを国造りのてこにしようと望んだ。両国間にある障害は52年に李承晩が「李承晩ライン」を宣言して、竹島を韓国の領土にしてしまっていたことだった。