話題の小説の魅力を担当編集者が語る「編集部に質問状」。今回は、万年講師の田口公平と、破天荒な官僚・白鳥圭輔が活躍する人気医療ミステリー「チーム・バチスタの栄光」の続編「イノセント・ゲリラの祝祭」(海堂尊、宝島社)です。宝島社の下村綾子さんに話を聞きました。(回答はほぼ原文のまま掲載)
--作品のあらすじや、田口・白鳥シリーズについて教えてください
第4回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、海堂尊さんのデビュー作となった作品が「チーム・バチスタの栄光」です。患者の愚痴をひたすら聞きまくるという不定愁訴外来(通称、愚痴外来)の担当・田口公平医師と、厚生労働省からやってきた言いたいことを言いまくる論理怪獣(ロジカル・モンスター)・白鳥圭輔が探偵役となり、東城大学医学部付属病院で連続して起きる謎の術中死に迫る、医療ミステリーです。この作品は、現役医師ならではのリアルな医療現場の描写と、キャラクターのコミカルなやりとりが大変話題になり、累計320万部突破するベストセラーとなりました。映画化や連続ドラマ化もされ、田口・白鳥のコンビは高い人気を誇っています。
そのふたりが引き続き登場するのが、「ナイチンゲールの沈黙」(小児科病棟が舞台)、「ジェネラル・ルージュの凱旋」(救命救急センターが舞台)、そして、11月に刊行した最新刊「イノセント・ゲリラの祝祭」(厚生労働省が舞台)。この一連の作品群が「田口・白鳥シリーズ」です。
--作品の誕生した経緯は
田口・白鳥のコンビの続編をぜひ、とお願いをして書き下ろしていただきました。本作「イノセント・ゲリラの祝祭」は、昨年12月に発売した「このミステリーがすごい!2008年版」に特別掲載された海堂さんの短編「二十三区内外殺人事件」と、実は密接にリンクしています。このころから、作品の構想がおありになったのだな、と感じます。他に、▲▲の話、××の話、○○の話、などもお聞きしているのですが……。まだ秘密、ということにします(笑い)。
--作品の読みどころは何でしょうか?
ズバリ、ぐずぐずの医療行政にズバズバ切り込んでいくところ。策略をめぐらせる男たちの暗躍は、志士たちの討幕運動にも似ている……と個人的には思っています。気高い誇りと闘志を感じさせる登場人物たちにしびれます。ちょっと難しいのではないかと思われるテーマも、ぐいぐいと読ませて問題の本質を理解させてしまうのはさすが。日本の在り方について考えるきっかけを与えてくれる作品でもあると思います。
--読者にひと言お願いします。
読む人によっていろいろな輝き方をする作品です。ぜひお手にとってみてください。
宝島社 編集2局 下村綾子
2008年11月24日