【社説】為替介入の無意味さ学ぶのに大金使った韓国政府
ペルーを訪問中の李明博(イ・ミョンバク)大統領は「為替に手を加えると問題が大きくなる。市場にこれ以上の衝撃を与えるべきではない」と語った。政府は今後、外国為替市場に無理に介入しないという意味だ。企画財政部の関係者も「最近は為替が急激に変動する状況でなければ、市場への介入は行っていない」と述べた。
現在の政府は政権発足直後から外国為替市場への介入を積極的に行ってきた。当初は「輸出と経済成長のためには一層のウォン安が望ましい」として、人為的にウォン安に誘導して市場の混乱を招いた。その後今年後半になると、今度は原油高で物価が不安定になるとして、逆にウォン高誘導のために再び市場への介入を始めた。その影響で3月には2642億ドル(現在のレートで約25兆3000億円、以下同じ)あった外貨準備は、10月には2122億ドル(約20兆3000億円)へと一気に520億ドル(約5兆円)も減少した。減少分の中で韓国銀行が銀行の資金難解消のために市場に投入した外貨や、ユーロや円に分散投資されていた外貨準備からドル価格上昇により生じた為替差損分を除いたとしても、250億ドル(約2兆4000億円)から300億ドル(2兆9000億円)が市場介入のために投じられたことになる。それでもウォンは今年初めに1ドル=930ウォン前後だったのが、先週末には1ドル=1497ウォンにまで下落した。つまり、ウォンの価値は昨年末に比べると60%も落ち込んだことになる。そのため結果的に300億ドル近い莫大(ばくだい)な資金をざるに注ぎ込む結果となった。ウォン高になると輸出のため、ウォン安になると物価と通貨価値を維持するためとして為替に手を加えてばかりいるのだから、市場がまともに機能するはずがない。
2000年以降、政府が市場に介入するために発行した外国為替平衡基金の累積赤字は26兆ウォン(約1兆6700億円)に達する。ノンデリバラブル・フォワード(NDF)などの派生金融取引まで行うことで無理に為替に手を加えようとし、結局莫大な損失と為替差損まで抱えるようになったからだ。国債である外国為替平衡基金(外平基金)の赤字は結果的に国民の税金でまかなうしかない。
ウォン安の最も大きな原因は、外国人投資家がこれまで韓国で株や債権に投資していた資金を回収している点にある。この流れは国内外の金融市場が正常化し、実体経済が再び息を吹き返すまで当分は続くだろう。それでも幸いなことは、一時1バレル=140ドルにまで上昇した原油価格が、最近は1バレル=40ドル台にまで急速に値を下げ、ウォン安傾向の中でも物価の不安定要因が以前ほどではなくなった点だ。
別の経済目標達成の手段として為替に無理に手を加えようとすると、結果的により大きな代償を支払うことになる。政府は今後、為替の変動に一喜一憂するのではなく、世界経済が回復するまで国内経済の体力強化に取り組むべきだろう。その結果として貿易で再び黒字を稼ぎ出すことが、為替を安定化させるための賢明な政策であるという事実を肝に銘じなければならない。
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