韓国との対立よそに日中は雪解けムード
小泉首相の靖国参拝問題で悪化の一途をたどっていた中日関係が、今月26日の「安倍晋三政権」誕生を前に雪解けムードを呈している。次期首相就任が確実な安倍官房長官は、中国との関係改善のため今年11月にハノイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前に中国と首脳会談を行う方針であることが明らかになった。
安倍官房長官は11日の自民党総裁候補の公開討論会で、中国との首脳会談再開に関する質問に「この場で詳細な内容は明らかにできない」と答え、両国が外交チャンネルを通じて水面下の調整を行っていることを示唆した。日本の政界消息筋は「 “安倍首相”がAPEC首脳会談前の適切な時期を選んで日帰りで中国を訪問、胡錦濤主席と首脳会談を行う案を検討している」としている。こうなれば、韓日首脳会談前に中日で首脳会談が実現する可能性がある。
安倍官房長官は「首相に就任したらアメリカとの同盟関係を重視した外交を展開する」と明言しながらも、靖国参拝問題により悪化した中国・韓国との関係改善の必要性も力説してきた。安倍官房長官は今月9日の記者会見でも「日本側の門戸はいつでも開かれている。問題があるから会わないというのは逆ではないか。両国の首脳が胸襟を開いて話ができる環境を作る努力をしていきたい」と意欲を示した。
中日間の交流もこれまでになく活気を呈している。国際交流基金が主催する「日中21世紀交流事業」の一環として、中国の高校生37人が日本の高校に1年間留学するため、今月7日に訪日したのは、両国の関係改善のスタートを告げていると受け止められている。日本も高校生1,000人を中国に留学させる計画だ。
また、9日には東京で2年半ぶりに両国次官級経済協議が開かれた。年1回ずつ開催されていたこの協議は、2004年4月を最後に両国関係の悪化で中断されていた。
中国も安倍政権発足を前にあからさまな対日批判を自制し、間接的な表現で首脳会談に意欲を示している。中国の温家宝首相は6日、日本経団連の御手洗富士夫会長が率いる日中経済協会訪中団と北京で会談、「両国が努力し合い、できるだけ早い時期に障害を取り除く必要がある」と述べ、中日関係改善に期待を示した。
しかし、首脳会談の成功に最大の障害となる靖国参拝問題について、両国の見解の違いは根本的には解消されておらず、調整も難航が予想される。安倍官房長官は靖国参拝問題について「行ったとしても行かなかったとしても、また行こうが行くまいが明らかにしない」というあいまいな戦略で一貫している。安倍官房長官は今年4月、靖国神社を極秘に参拝していたことが分かり、メディアもこれを報じたが、本人はコメントを拒否している。
「安倍官房長官の中途半端な中国認識は関係の行き詰まりを招く火種になるかもしれない」との指摘もある。安倍官房長官は中国側の態度の変化について、9日に民放の番組で「中国は靖国問題を外交カードにするのが間違いだったと認識し始めたのではないか」と述べた。その根拠として「2004年から中国に対する外国人の投資は0.2%減少、日本の一般投資も減った」としている。安倍官房長官の持論である「日中関係では政治と経済を分離するべき」という主張も、現実的な外交姿勢ではないとの批判が出ている。
■中国要人の主な対日発言
2004.9.13
温家宝首相(日本経団連の奥田碩会長に日本批判)
「日本の少数の政治家は歴史問題に正確な認識を持っていない」
2004.11.21
胡錦濤主席(チリAPEC首脳会議で行った日中首脳会談で)
「日本の指導者の靖国参拝は日中関係を難しくしている」
2005.9.26
温家宝首相(日本経団連の奥田碩会長に)
「日本の指導者が歴史問題に正しく対処し、歴史を鏡として未来に向かうことを希望する」
2006.3.31
胡錦濤主席(橋本龍太郎元首相ら日中友好7団体の代表との会談で)
「日本の指導者がA級戦犯の合祀〈ごうし〉されている靖国神社に参拝しなければ、首脳会談はいつでも可能だ」
2006.7.4
胡錦濤主席(民主党の小沢一郎代表に)
「歴史問題で中日関係は停滞しているが、可能な限り早い時期に健全で安定した軌道に戻ることを希望する」
東京=鄭権鉉(チョン・グォンヒョン)特派員
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