Print this Post Article Lists Back

「天皇だけが日本を変えることができる」

【新刊】金鎮炫(キム・ジンヒョン)著『日本の友人に本当にしたい話』(ハンギル社)

 韓国と日本は真の友人になれるのだろうか。「一衣帯水」の玄界灘を間に挟んだ両国は、多くの面で共通点があり、共に未来を開拓して行くべきパートナーだ。しかし、決定的局面のたびに、日本の歴史教科書問題や靖国神社参拝、独島(日本名竹島)問題が障害となってきた。こうした過去の悪縁を振り払い、未来志向的な「共同の家」を建てようという声が知識人らを中心に挙がっているものの、現実的な力を得ることができずにいるのが実情だ。

 韓国の代表的なジャーナリストの一人である著者は、訪日回数120回を超える知日派だ。両国の関係が21世紀に入っても正常化されないことを残念に思う著者は、その原因を分析し、処方せんを出した。

 著者の見解では、韓日が歴史と未来の共有に失敗している主な原因は、成熟した歴史認識を持つことができない日本側にあるという。日本は世界第2位を誇る経済大国だ。しかし、食糧・エネルギーなどの面で外部依存度が非常に高いため、超大国になることはできない。その上、政治指導者らがアジアや世界、人類全体に目を配ることができず、日本の富国強兵だけを目指している。その代表的な人物が、日本の核大国化を執拗に追い求めてきた中曽根元首相だ。そして今日の日本を率いる小泉前首相・安倍首相などはその後継者に当たる。

 こうした人物らに代表される日本の「保守本流」には、まったく期待することができない。日本国内で唯一変化をもたらすことができる力の源は「天皇」だ。国民や政府、憲法の上に存在する天皇だけが歴史のくびきを解き放ち、日本病を治癒することができる人物なのだ。そのため著者は、明仁天皇(現在の天皇)が自ら戦争責任を認め、靖国参拝と歴史教科書問題を解決する「平成維新」を決断することを促している。

 また、韓日関係を正常化するもう一つの方法は、両国が対等な力を持つことだ。日本は一度も自ら改革を成し遂げたことがなく、外部から圧力を受けた時にだけ仕方なく変化を成し遂げてきた国だ。著者は両国が対等な力を持つ可能性について、楽観的な見通しを持っている。

 1945年以降に植民地支配から解放された国の中で、唯一OECD加盟国になった韓国は、日本より優れた自然条件、今後対等になる人口、積極的なキリスト教受容、相対的にはるかに多い理工系の学生数と海外留学生数、全世界に広がったコリアン・ネットワーク、国民の高い国際化水準などにより、2020年には日本と対等な関係に立つ、と著者は推測している。非西洋国家としては珍しく、市民と自由の共同体として成長した韓国が日本に肯定的な影響を及ぼすとき、日本も正常な近代国家になるというのだ。

 ところで、著者が韓日両国が運命共同体だと強調する理由は、中国・インドなどの「ヒマラヤ諸国」による挑戦のためだ。40億もの人口が推進する急速な近代化は、環境・政治面で東アジアに途方もない災難をもたらし得るものだ。韓日が共倒れを避け、脱近代のモデル国家になるためには、過去を振り払い、互いに協力しなければならない。

 韓日関係を扱った他の書籍と同様に、記者はこの本を読みながら、あるべき姿と現実の乖離(かいり)を切実に感じさせられた。著者の数々の指摘は、世界史の流れと東アジアの未来を考えれば余りにも自明に見える指摘だが、実際に現在日本が取っている行動は、これとはかけ離れているのが実情だ。

 結局、韓国にとって実現可能かつ実行すべきことは、著者が主張するように、われわれの力を1日も早く育て、これを土台に日本が変化するよう圧力を加えていくことしかないと思われる。

李先敏(イ・ソンミン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る