知られざる宮女の実態に迫る『宮女』
シン・ミョンホ著
時空社
294ページ
1万2000ウォン
ネット上で『月刊宮女』や『宮女センス』といった雑誌形態のページを一度は見たという人も多いだろう。最近、テレビの時代劇に登場する宮女たちは、宮廷暗闘劇には必須とされる助演という枠を越え、堂々たる主人公に浮上している。
日常史や生活史として関心が集中している教養歴史書の流れが、こうした大衆的な関心と重なった今こそ出版が求められていた。まさにそういった本がこの本なのである。
釜慶(プギョン)大学史学科教授の著者は、朝鮮時代の宮女の実体を明らかにする過程が「歴史の無意識の中に埋もれていた記憶を蘇らせる感覚と同じだった」と言う。宮女に対する既存の知識は元宮女の証言を元に出版化されたイ・ギュテ著の『開化百景』(1971)とキム・ヨンスク著の『朝鮮朝宮廷風俗研究』(1987)がほぼすべてだった。
『朝鮮王朝実録』と『承政院日記』の膨大な記録の中でも宮女についての記述はほぼ見当たらない。宮女とは原則的に「王の女」だったため、王以外に知られてはならない存在だったからだ。ところが意外にも逆謀事件に関する法廷記録である『推案及鞫案』には、宮女たちの詳細についてが具体的に記されており、この本の中心的資料となった。
宦官や別監とのスキャンダル、若しくは同性愛に至ったという記録も多く見られる。「余暇の時間はどう過ごしたのか?」縫物や物書き、投壺(矢を壺の中に投げ入れる遊戯)などを楽しんだ…。
3年前にこの世を去った“最後の宮女”を紹介した最終章はもの悲しい。1966年まで純宗の皇后である尹皇后に仕えた成玉艷(ソン・オクヨム)尚宮は出家をして暮らしていたが、遺品は財布に残っていた2万3000ウォンがすべてだったという。
もしかしたら初の女性専門職だったかも知れない彼女たちの人生は、最後まで前近代の桎梏から脱することができなかったのだろう。
兪碩在(ユ・ソクジェ)記者 karma@chosun.com
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