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開港以後のソウル、その商売風景とは(上)

【新刊】パク・サンハ著『京城商界』(考えの木)

ほぼ同時期に撮影された忠武路2街の様子。さっぱりとした洋服を着た男性や洋傘でおしゃれした女性が、通りを闊歩している。/資料写真=朝鮮日報DB  

 「鋼鉄が割れようとも、星標ゴムは裂けません。ゴム靴が丈夫なのも星標ゴムを使っているからです」

 「警告! 1年間使用、確実保障品。偽の亀甲船印が多く出回っているため騙されないよう、お買い上げの際には下記の絵と同じ亀甲船の商標に波の靴底をお買い上げ下さい」

 「大陸ゴムが製造したゴム靴…李王殿下もご利用に…」

 開港後最高の人気商品「ゴム靴」市場における各企業の広告合戦は、今日にも劣らず激しく見える。「批判広告」にも似た文言、「類似品注意」の警句、君主や亀甲船を表に出した「愛国心マーケティング」を見れば、さらにその意を強くする。士大夫の階級性を目立たせた革張りや絹張りの履き物とは異なり、誰でも買って履くことができたゴム靴は、「社会的平等」を待ちわびた民衆の心の渇きを汲み取る役割までも果たした。男ものは草履スタイルで、女ものは先を尖らせ、「朝鮮式」に変形したものが特に人気だった。

 「8・15解放前には財界の歴史がないとの主張を拒否する」という著者は、20世紀初めの朝鮮の産業と企業発展の事例を追った。開港から解放前後までの「産業都市」京城(ソウル)の姿を示す。

 「家計の状況が思わしくなく、日頃から質屋と縁ある暮らしをしていた。わたしは今でも8枚の質札を持っている。その中には、1着しかない洋服さえも入っていた。一昨年結婚したときに用意してくれた妻の結婚指輪まで入っていた」。小説家ヨム・サンソプは、金を貸して稼ぐ金融業の活況を、自分の境遇を引き合いに出しながらこのように語った。

パク・ヨンソク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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