刀を置き、花を手にしたサムライたち(5/6)
「21世紀ネオ・ジャパネスク」大解剖
日本企業が伝統的に得意だったのは高品質戦略だ。しかし、「中国・韓国をはじめとする後発国が急速に技術力を上げ、品質や機能面での優位性だけでは差別化が困難になってきている」と分析している。日本経済としては、中国・韓国に真似できない新たな競争力の源泉が必要になった。それがまさに品格だ。品格とは、従来の経済学のカテゴリーには存在しなかったコンセプトだ。品格を論理で解き明かし、数値で表現し、製品の製造につなげることは不可能だと思われてきた。このように文化のカテゴリーとしか見なされていなかった「品格」を、産業の現場に引き込もうと、経済産業省は口火を切ったのだ。
報告書のタイトル自体に、日本政府の大いなる野心が込められている。「新日本様式」は英語で「ネオ・ジャパネスク」あるいは「ジャパネスク・モダン」と表現する。ジャパネスクとは、19世紀の中後期にヨーロッパを風靡(ふうび)した日本文化ブームから取った言葉だ。
「ジャポニズム」と呼ばれた日本的な情趣は、このころフランス・イギリスを中心に約30年間続き、印象派などヨーロッパの美術界・芸術家たちに大きな影響を及ぼした。これを再現しようというのが、「新日本様式」報告書の狙いだ。19世紀中期、日本的な情趣がヨーロッパを動かしたように、文化的な魅力で21世紀の競争力で優位に立とうというのだ。日本は「21世紀版ジャポニズム」の栄光を夢見ている。
◆国を前面に押し出す戦略
新日本様式を提唱した日本政府の号令に、財界はすぐに反応を示した。2006年1月、パナソニックやトヨタ自動車など、あらゆる業種・分野にわたる76の代表企業・団体、38人のデザイナー・学者・専門家らが立ち上がり、「新日本様式協議会」を結成した。協議会の設立趣旨には、愛国主義的なムードが強く漂っている。
「新たな付加価値の源泉として“日本ブランド”の確立が要求されている。日本固有の文化・技術・心を要素にした総合的な日本の素晴らしさ、つまり日本ブランドの価値を高め、世界に発信することは、日本製品とコンテンツの国際競争力強化につながるだろう」
設立趣旨書のキーワードは「日本ブランド」だ。協議会は新日本様式のコンセプトを「日本の伝統的な技術・デザイン・機能・コンテンツを現代生活にふさわしい形で再確立すること」と定義付けた。これは、日本という国のブランド知名度を上げ、他国製品・コンテンツと差別化するという意味だ。
協議会にはシャープ、キャノン、日立、富士通、NEC(以下、電子)、三井物産、伊藤忠、丸紅(以下、総合商社)、電通、博報堂(以下、広告)、日本航空、全日空(以下、航空)といった日本を代表する企業が業種を超え網羅されている。外務省、経済産業省、国土交通省、文化庁の4官庁もオブザーバーとして参加しており、国家プロジェクトであることは明らかだ。
東京・京都=金正薫(キム・ジョンフン)経済部部長
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