刀を置き、花を手にしたサムライたち(4/6)
「21世紀ネオ・ジャパネスク」大解剖
◆「貿易は映画の後を追って来る」
ジェトロだけではない。経済と文化を結び付け、文化を通じ経済的に「食べていけるアイテム」を育てていこうという戦略は、日本の各省庁で同時多発的に展開されている。
内閣府に設置されている経済財政諮問会議は、日本の21世紀のビジョンについて「開かれた文化創造国家」と規定(2005年5月)し、総務省は「ソフトパワーの強化」、経済産業省は「日本ブランドの創出」といったプロジェクトを進めている。
日本の戦略は20世紀の米国をモデルにしている。20世紀初期・中盤の米国経済の世界展開に対する戦略は、「貿易は映画の後を追って来る(Trade follows the film)」というスローガンに要約される。ハリウッド映画やテレビドラマ、ポップミュージックなどを通じ、「アメリカのライフスタイル」を世界に広めた後、米国に憧れる世界の消費者に米国製品を売ったのだ。
『エデンの東』(1955年)でジェームズ・ディーンが履いたリーバイスのジーンズは全世界の若者のハートをとらえ、オードリー・ヘップバーン主演の『ティファニーで朝食を』(1961年)はニューヨーク5番街の一宝石店だったティファニーを世界的なブランドにした。世界の消費者は「米国」を消費するという感覚でマクドナルドのハンバーガーを食べ、コカ・コーラを飲み、フォードの車に乗った。米国という国自体が巨大なブランドだった。
これはまさしく、21世紀に日本が構想する国家戦略と同じだ。日本政府は2005年の通商白書で「文化交流と経済交流の間には意味深い相関関係がある」と宣言した。つまり日本は、日本という魅力そのものを売ったり、製品・サービスに文化的な魅力を付けて価値を高めたりする戦略を展開しているのだ。
◆「品質」から「品格」へ
日本の経済産業省(旧・通商産業省)は「株式会社日本」を率いる作戦本部だ。2005年7月、経済産業省は「新日本様式の確立に向けて」という、少し難解なタイトルの報告書をまとめた。報告書は次の宣言文で始まる。
「付加価値の評価は“価格から質への時代”を経て、“質から品位への時代”へと移り変わっている。(中略)経済のみならず、日本の文化、日本人の感性、日本の心など日本固有の資産を要素とした、総合的な日本の素晴らしさ=“日本ブランドの有する価値”を向上させ、世界に発信していくことが肝要である」
報告書が注目を浴びているのは、「品位・品格」という文化的パラダイムを主張している点だ。報告書は「グローバルな経済戦争の中核をなす競争力は“品格”に変わった」と宣言、製品の「格」で競い合おうという新しい産業戦略を示した。日本経済が価格・品質の競争を経て文化的価値を競う段階に突入したことを知らしめる始発点といえる。
東京・京都=金正薫(キム・ジョンフン)経済部部長
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