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刀を置き、花を手にしたサムライたち(3/6)

「21世紀ネオ・ジャパネスク」大解剖

◆農産品は文化商品

 昨年、日本産コシヒカリが中国に輸出されて話題を呼んだ。値段は中国産米の20倍以上とかなり高価だが、中国の富裕層に人気だ。その裏にある日本政府の意図はとてつもなく大きく深い。農業にも日本の文化的な価値を与え、輸出戦略産業として育て上げたいと考えているのだ。

 日本のコメ輸出は日本貿易振興機構(ジェトロ)が後押ししている。もちろん、日本の農産品は価格面では競い合えない。そこでジェトロが考えたのが、農業を文化と結び付ける戦略だった。中国に輸出されたコメを、日本のハイソサエティーなライフスタイルが感じられる文化商品としてマーケティングする戦略だ。

 東京・赤坂のジェトロ本部で会ったナガタ・ミキオ輸出促進・農水産部長は、「農業は一種の文化産業」と話す。「英語の“農業(agriculture)”には“文化(culture)という言葉が入っているではありませんか。食物・食品というものは、その国の歴史や生活様式により確立された文化です。わたしたちは食文化を通じ、日本そのものを海外に伝える活動をしているのです」

 ジェトロは貿易摩擦の影響で19年間、輸出促進業務を中断していたが、2003年に再開し、力を入れるようになった。興味深いのは、重点輸出産業に掲げた(1)コンテンツ(2)ファッション・衣類(3)デザイン(4)農水産・食品(5)機械・部品の5分野のうち、4分野が文化に関係している点だ。

 ナガタ部長の説明は意味深長だ。「わたしたちは今後、文化的な背景を持つ製品を輸出しようと考えています。かつて日本が得意だった工業製品は、技術力さえあれば生産地がどこであろうと関係ありません。でも、文化的背景を持つ製品は、日本で作られたという事実、つまり“メード・イン・ジャパン”であるという事実が重要になってきます」

 日本は、国境がなくなる「脱国家」の時代に逆行し、日本という国家的要素を前面に押し出している。日本的なものでグローバルな経済戦争を乗り切ろうとしているのだ。

東京・京都=金正薫(キム・ジョンフン)経済部部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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