民衆史観の退潮、日常から見た韓国史(下)
20年ぶりの改訂、 『韓国史研究入門』
さらに、朝鮮政治史において否定的に評価されて来た党争を「公論政治」という大きな枠組みで再解釈し、朝鮮王朝が500年余りもの長きにわたって存続し得た理由をここに見いだす動きを紹介する(ソウル大・金仁傑〈キム・インゴル〉)。また、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の国際紛争としての性格に注目(明知大ハン・ミョンギ)、家族関係は17世紀半ば以降、ようやく父系中心に転換したことが定説となったことを明らかにしている(高麗大・権乃鉉〈クォン・ネヒョン〉)。
◆近・現代
朝鮮後期の民衆運動を通じ変革主体の成長を明らかにしようとした1980年代の「民衆運動史」研究は、今や韓国内外の情勢変化により説得力を失い始めている(成均館大ペ・ハンソプ)。大韓帝国が植民地に転落した最大の責任は高宗にあるが、彼が改革と主権樹立のため努力した過程は認めなければならない、という最近の「大韓帝国肯定論」も一部反映されている(祥明大・朱鎮五〈チュ・ジンオ〉)。日帝強占期は日本により「収奪」された時期なのか、それとも「植民地近代化」がなされた時期なのかを巡る最近の鋭い論争からは、両サイドの見解を十分に紹介し結論を留保しつつ(ソウル市立大・鄭在貞〈チョン・ジェジョン〉)、一方で植民地資本主義化による階層間の二極化に注目している(カトリック大・鄭然泰〈チョン・ヨンテ〉)。
また、光復(日本の植民地支配からの解放)以前で終わった第2版とは異なり、第3版には1970年代までを含めた現代史11章が新たに追加された。ただしこの時代については、意見の一致が見られる部分はまだ少ない。(文中敬称略)
■『韓国史研究入門』とは
韓国史研究者たちの代表的な学会である韓国史研究会が編さんしている書籍で、1981年に第1版、87年に第2版が出版された。先史時代から現代までを数十章に分け、それぞれの分野を代表する学者が分担して執筆している。出版当時までの韓国内外での研究成果を集大成し、「韓国史講壇史学界の現住所」を示しており、版が改まるたびに、事実上最初から書き起こされた新しい書籍として出版されている。
兪碩在(ユ・ソクジェ)記者
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