民衆史観の退潮、日常から見た韓国史(上)
20年ぶりの改訂、 『韓国史研究入門』
韓国の歴史を学ぶ一般人や学者にとって、極めて重要な本がある。『韓国史研究入門』(知識産業社)がまさにそれだ。この本の20年ぶりの改訂版、第3版が来年1月初めに出版される。総勢71人の執筆者が動員された。今回の改訂版は、これまでの研究の発展と解釈の変化を余すことなく盛り込んでいる。第3版の特徴をまとめると、(1)日常史に対する関心の増加(2)民族主義・民衆史観の退潮(3)近・現代史解釈の多元化―などだ。
◆先史時代と古代
第1版では、韓国人の起源について「無文土器を残したワイハク族が新石器時代の古アジア族を吸収した結果だ」と述べていたが、第3版(ソウル大・李鮮馥〈イ・ソンボク〉)では「そうした主張を展開することは難しくなった」と主張、不可知論に近い意見を提示した。尖頭(せんとう)器時代の起源について、第2版では「起源前10世紀より前とみても無理はない」と記していたが、第3版(慶熙大キム・ジャンソク)では、「紀元前14‐15世紀ごろ」までさかのぼった。
古代国家成立の前段階としては、有力国家が周辺勢力を統合する「部体制」が新たに注目されている(慶北大・朱甫暾〈チュ・ボドン〉)。「東北工程(中国の歴史研究プロジェクトで、高句麗や渤海を中国史の地方政権とするなど論議を呼んだ)」の余波から、第3版では新しく「(古代の)国際関係」の章を追加し、冊封・朝貢関係は実質的なものではなく形式的な関係だったことを論証した(ソウル教育大イム・ギファン)。また、渤海史に対する関心の増加は、「統一新羅時代」ではなく「南北国時代」と呼ぶべきだ、という主張に強く表れている(ソウル大・宋基豪〈ソン・ギホ〉)。
◆高麗・朝鮮時代
高麗時代の女性が家で祭祀(さいし)を執り行い、責任を持って両親を共に養っていたなど、朝鮮時代とは異なる親族制度だった事実が注目されているように(ソウル大・盧明鎬〈ノ・ミョンホ〉)、日常史に対する比重も大幅に増えた。遼・金・元に対する高麗の一方的な「抗争」よりは、勢力均衡と実利主義に注目した見解も示されている(公州大ユン・ヨンヒョク)。
兪碩在(ユ・ソクジェ)記者
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