朝鮮総督府による言論弾圧の実態とは(上)
【新刊】鄭晋錫(チョン・ジンソク)著『極秘朝鮮総督府の言論検閲と弾圧』(コミュニケーションブックス)
朝鮮総督府で新聞や映画、レコードなどの検閲を担当する「図書課」の第2代課長として言論統制の実務を担った立田清辰は、『1903年朝鮮出版界の回顧』という著書の中で、民族紙たる「朝鮮日報」と「東亜日報」の論調を次のように評した。
「諺文新聞紙(朝鮮日報など、民族紙を指す)の従来の論調は、(総督府の)朝鮮統治の方針に非難を加えることがその唯一の本業と考えられているのではないか、という疑心を抱かしめるほどだった。誇張、扇動ばかりの記事を載せたり、あるいは事実を捏造する…(中略)。多くの官僚のうちごく一部がしくじりをしでかせば、さも全ての官僚が悪いとでもいうかのような論調を展開した」
暴圧的だった日帝強占期に「朝鮮日報」と「東亜日報」が掲載したどのような報道に対し、総督府図書課長はこうした評価を下したのだろうか。
メディア史を専攻した韓国外国語大学の鄭晋錫(チョン・ジンソク)名誉教授が、総督府の膨大な極秘資料を基に、19世紀後半から日帝強占期に至るまでの言論弾圧の歴史を実証的に再構成し、次のように語った。「総督府警務局図書課は、『朝鮮出版警察月報』『朝鮮出版警察概要』をはじめとして、さまざまなテーマの秘密資料集を作った。総督府の意図は、言論を把握し、統制のための手段として利用するというものだったが、今日においては、(総督府の秘密資料は)日帝期の言論・出版の外形的規模と論調、外国メディアが行った日本批判に関する資料に至るまで、当時の実相を示す体系的な記録として価値を持つようになった」
大韓帝国末期に発行された民族紙は、日帝強占期以後すべて廃刊となり、1910年代には総督府の機関紙「毎日申報」の1紙のみとなった。ところが1920年、いわゆる文化政治を実施する中で「朝鮮日報」や「東亜日報」、「時事新聞」などの民間紙が創刊され、これに伴い総督府の本格的な検閲業務が始まった。
廉康洙(ヨム・ガンス)記者
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