【教科書】「われわれは日本についてきちんと勉強しているのでしょうか?」
韓国歴史学の重鎮・崔文衡教授に聞く(中)
「先代にはやむを得ない面もありました。国民に勇気を与えなければならないので、民族を強調することもあったのでしょう。また、右翼が強力で、歴史の解釈が非常に偏ったのもひとつの理由でしょう。しかし、今は反対に左に振れ過ぎてしまいました」
―韓国の歴史教科書が左翼による歴史解釈ということですか。
「そうです。左翼の歴史を捉える特徴は“もし、あの時こうであったなら、歴史は変わっていた”という風に見ることです。常識的な話ですが、歴史に“もし(if)”はあり得ません。歴史に対して誤った見方をしているのです。しかし、韓国の左翼は日本の左翼と比較した時に大きな違いがあります。日本の左翼は自分の国家は否定せずにむしろ擁護しますが、韓国の左翼は大韓民国を否定しています」
―民族・民衆を強調する歴史教育の最も大きな弊害は何ですか。
「民族と民衆にだけ執着すれば、当面の懸案を疎かにしまいがちになります。現在、日本とは明成皇后殺害と独島問題、中国とは間島問題などが懸案になっています。ところで、われわれは日本に関してきちんと勉強していますか? 偏見を植え付けるのも問題ですが、国益を損なう教育になっています。どんな人であっても、国家を評価する時は功罪をバランスよく見なければなりません。韓国の教科書は暗に反米感情を煽っています。侵略者だったというやり方です。しかし、当時の米・英・仏・ソ・日などの帝国主義国家の中で、侵略しなかった国家はどこもありません。感傷的な民族民衆主義によって、この国が直面していた現実を客観的に見ることができなくなっています」
―韓国史学界に対する根深い不信感も吐露なさいましたね。
「韓国史が麻痺しています。歴史に対しては冷徹でなければならないのに、民族・民衆を語ると妙にかしこまってしまいます。韓国史学者らの間では、韓国史は韓国の資料を通じて研究しなければならない、といった考え方が支配的です。しかし、帝国主義時代には地球上どの国といえども、外部世界と断絶したままの存在などありませんでした。韓国の歴史も同様です。開港以降は列強らの対立と角逐の複合的関係があったのに、国史学界は世界史的視角が欠如しています。偏向した知識だけを追求していては、国益を追及することはできません」
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