【マカッサル(インドネシア南スラウェシ州)関東晋慈】新型インフルエンザのパンデミック(大流行)発生地となる危険性が最も高い国の一つ、インドネシアで22日、州政府主催の模擬訓練が初めて実施された。
国内では、ジャカルタなどの大都市圏で米疾病対策センター主導の訓練が行われたことはあるが、今回は南スラウェシ州が独自に実施。同州では今月13日にも、鳥インフルエンザが疑われる患者17人の発生が明らかになったばかりだ。
訓練には、医療関係者や州警察、軍関係者ら約200人が参加。マカッサル市の農村部で、鶏を飼う2軒の民家から計5人の患者が発生したと想定し、救急車で駆けつけた防護服姿の医療関係者が鶏を処分・消毒するとともに患者からの検体を採取。病院を想定した小学校に運んで応急処置をした。住民1000人近くが興味深そうに見守った。
新型インフルエンザは、鳥インフルエンザウイルスが人間への感染力を持つ型に変異して発生すると考えられている。インドネシアでは、鳥インフルエンザによる死者が100人を超え、世界の死者の約半数を占める。
この日は、新型インフルエンザ対策支援のため日本から現地入りしている国際協力機構(JICA)の関係者らが視察した。チーフアドバイザーとしてマカッサル市に赴任している平山隆則医師は「患者と接触した人の追跡調査を実施していないなど訓練に不十分な点はあるが、住民に見せることによって意識が高まる」と話した。
毎日新聞 2008年11月23日 東京朝刊