西日本新聞

学校一斉休校 指示は簡単、明確がいい

2008年11月23日 11:08 カテゴリー:コラム > 社説

 「あわてない」「集まらない」「がんばらない」。最近、佐賀県が公表した新型インフルエンザ対策の合言葉である。

 中でも「集まらない」は重要である。

 人が集まる場所で1人の感染者でもいれば、瞬く間に感染が広がり、大流行する可能性は高まる。例えば、学校だ。

 厚生労働省の専門家会議は、いずれかの都道府県で1例目の患者が確認され、感染拡大の恐れがある場合には、その都道府県全域で学校閉鎖に踏み切るなどの新たな対策指針をまとめた。

 佐賀県の場合、さらに進んでいる。隣接する福岡、長崎両県のいずれかで発生したときも県内一斉休校にする方針だ。

 いざというときに「あわてない」ためには、正しい情報が適時適切に提供されていることが第一である。そして、万が一の事態が発生したときにどう対処するのか。指示は簡単で明確な方が良い。

 その意味で、小中学校や高校、保育園、幼稚園を閉鎖するかどうかを市町村の判断に委ねるのではなく、一定の条件になれば自動的に措置が講じられると決めておけば、保護者にも分かりやすい。

 流行をできるだけ抑えるために集まらない。単純だが、非常に有効である。

 新型インフルエンザは、世界のどこかで発生すれば2週間から4週間で日本に入るとの予測もある。発生から世界的な大流行まで短時間で起こり得るのだ。

 そして、流行の波は複数回あり、1回の流行期間は2カ月程度とみられる。

 最低2週間分の食料などを蓄えて自宅待機し、外出は控える。子どもだけでなく、大人もそういう行動をとる。流行期間を乗り切る一番の方法とされる。

 そこで、佐賀県が掲げたのが「集まらなくても良いシステムづくり」だ。

 病院に新型インフルエンザ患者と一般患者が一緒に集まらないようにする。県庁などでも、職場や会議に人が集まらなくてもインターネットなどを活用して業務ができるようにしようとしている。

 デパートなどの商業施設や映画館、遊園地などの娯楽施設などにも早期休業が徹底していけば、なお良いだろう。

 電気やガス、水道など生活に不可欠な事業を除き、地域の経済活動を一時的にストップさせても、大流行させて壊滅的な打撃を被るよりはるかにましである。

 最後の「がんばらない」では、38度以上の熱やせきが出たら発熱電話相談センターに連絡し、38度以上の場合は仕事に行かないでと呼びかけている。

 これも客観的で分かりやすい。

 空港や病院などを舞台とし、新型インフルエンザ発生を想定した模擬訓練が各地で行われている。一般の関心も徐々に高まってきているように感じられる。

 国内で最悪64万人の死者が出るとの予測もある。だが、事前準備と心構えができていれば被害をもっと抑えることは可能だろう。そのために、できるだけ分かりやすい指針づくりは欠かせない。


=2008/11/23付 西日本新聞朝刊=

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