県内の研修医充足率は全国最低、生活保護開始率もワースト1--。そんな結果が先日、県議会の委員会で報告された。しかし、県は積極的に公表した訳ではなく、質問を受けて明らかにした。委員からは「こういう数字こそ発表すべきではないのか」と指摘する声が上がった。
「全国初」「日本一」。役所が出す広報文には華々しい言葉が並ぶが、不利なデータは発表したがらない場合が多い。良い点をPRしたい意図は分かるが、それでは、赤点のテストを引き出しにしまい込む子どもと変わらないではないか。
苦手科目も逃げずに勉強しなければ成績の向上は難しい。人間ならば、長所を積極的に伸ばす、という考え方もあっていい。だが、行政は、「赤点」の克服こそ重要な政策課題と認識し、取り組むべきだろう。
富山は「豊かで住みよい県」だと言われ、実際にそれを裏付ける統計も数多い。だが、その陰に、「住みよさ」からはじき出された人々がいる。高らかな行進曲にかき消されそうなほど小さな声だが、行政には、耳をふさいでほしくない。
私たち記者も、数字の裏側に目を向けよう。隠れた問題は少なくないだろう。逆に、「通知票」に表れない長所だって、この街にはまだまだあるはずだ。【茶谷亮】
毎日新聞 2008年11月23日 地方版