地震の連鎖の概念図
阪神大震災を引き起こした兵庫県南部地震は、その400年前に起きた大地震の「滑り残し」で起きた可能性があるという分析結果を、飯尾能久・京都大地震予知研究センター教授がまとめた。茨城県つくば市である日本地震学会で、24日に発表する。
兵庫県南部地震のような内陸型地震の周期は一般的に数千年とされ、短くても千年に一度程度と考えられている。しかし、六甲・淡路島断層帯では1596年に慶長伏見地震が起こったとされ、わずか400年後に兵庫県南部地震が起こり、その理由はよくわかっていなかった。
飯尾教授は九州から近畿の広い範囲の断層帯の動きをコンピューター上で再現し、関連がないか調べた。すると、四国北部にある中央構造線断層帯が動いた場合、六甲・淡路島断層帯が動きやすくなるように地下のひずみの変化が起こることがわかった。
慶長伏見地震は、九州北部で発生した地震によって、地下のひずみの変化が四国を経由して近畿に伝わって起きたと考えられる。六甲・淡路島断層帯は横から押される形で、動きやすい地表面近くの浅い部分がずれて地震が起きた。地中深くの岩盤のひずみは「滑り残し」として残ったため、その後のわずかな期間で兵庫県南部地震を引き起こしたと考えられるという。
飯尾教授は「今後、活断層ごとの地震発生確率を評価する場合には、活断層同士が互いに与える影響についても考慮する必要が出てくるのではないか」と話している。