13社の共同プロジェクト「Total Mail Risk Management & Solution」が始動、メールセキュリティ市場の拡大を支援
2008年08月19日(火)
[ 95 号]
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インタビュー
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メールセキュリティ分野の13社が集まり、各社の製品・サービスを組み合わせて顧客に提案するプロジェクト「Total Mail Risk Management & Solution」がこのほど発足した。その根底には、「メールは今や単なるコミュニケーションのツールから、内容を伴った企業情報の集まりである」という認識がある。このため、メールは企業にとって、絶対にふさぐことのできない『情報の出入口』。このプロジェクトは、メール環境を安全で便利に正しく活用し、販売促進のツールとして利用するにはどのようにすればよいのか―というメール活用の新しいテーマに13社が共同で解答を見出していくものだ。プロジェクトの裏方を務め、立ち上げに奔走した株式会社日本システムディベロップメント(=NSD、東京・新宿、冲中一郎代表取締役社長)の網野和幸執行役員・プロダクトソリューション営業本部長と、プロダクトソリューション営業本部一部の櫻井俊宏チーフに話を聞いた。
櫻井俊宏氏 プロダクトソリューション営業本部一部チーフ。本プロジェクトの中心的存在として、12社への提案や調整に奔走した。1980年生まれ。新卒でNSD入社後、同社内で初の優秀社員表彰を最年少で受けるなどしている
参加企業とカバー分野
《ソリューション層》
(1)メールサーバ/アーカイブ分野 ▽日商エレクトロニクス ▽ミラポイントジャパン
(2)ウイルス/スパム対策分野 ▽丸紅インフォテック▽マカフィー
(3)メールフィルタリング分野 ▽フォーバルクリエーティブ▽クリアスウィフト
(4)メール暗号化分野 ▽日本システムディベロップメント▽日本PGP
《発信ツール層》
(5)メール一斉配信分野 ▽日本システムディベロップメント▽メッセージングテクノロジー
(6)大容量ファイル送信分野 ▽オージス総研▽エルネット
《リスク・マネジメント層》
(7)情報漏えい保険 ▽FISソリューションズ▽東京海上日動火災保険
各社の得意分野持ち寄って発足
「Total Mail Risk Management & Solution」プロジェクトの組織化とその狙いについて櫻井氏は「各社ともメールについてのソリューションをいくつか持っていますが、お客様の話をお聞きすると、例えば弊社NSDが持っている暗号化ツール以外のアーカイブやフィルタリングなどの機能についてのご要望が多くあります」と語る。
これに1社だけで応えるのではなく、各社の得意の分野を持ち寄り、顧客の要望に漏れなく対応して行くために、「メールにおける各分野のリーディング企業と、メール提案のエキスパートSIerが結集することで、お客様の要望にトータルに対応できるのではないかと考えたことが発端にありました」という。
競合製品の調整に奔走
櫻井氏とともに13社の結集に汗をかいたNSDの網野氏は、「当社は“言いだしっぺ”ですので、参加各社さんをつないだり、間に入ってスムーズに行くように調整を行いました。参加各社間では競合する製品もありますので、大変だった部分もありましたが…」と明かす。
網野和幸氏 NSD執行役員・プロダクトソリューション営業本部長、1960年生まれ。中学校教員や大手進学塾内で日本初の小中学校向けコンピュータスクール立ち上げなどを経てNSDへ
だが、13社が結集した意味は大きいようだ。
「下の図表1を見ていただくと各社のソリューションが重なっている部分があります。しかし詳しく見ると、それぞれの製品にそれぞれの強みがあり、それは図の色の濃い部分で表していますが、お客様のニーズによっては1社の製品で済むのか、複数の製品を導入して良い所を生かすのか、今後、メールについてのきめ細かなコンサルテーションを含めた提案を行っていこうという狙いです」と網野氏は語る。
【図表1】図表の色が濃い部分がその会社の強い分野。参加各社のソリューションが重なる部分もある
参加各社にとって、競合商品が案内されているということは、競争が激しくなる側面もあるが、「お客様に対する提案の幅が広がるという面もあります。メーカーも販売店もここにメリットを感じていただけたと思っています」(網野氏)
その背景には既にメール関連の分野でも、製品・ソリューション・サービスの良し悪しだけで販売を行うのは難しくなっており、お互いに連携をとることで提案のポテンシャルを上げようという狙いがある。
30社程度の参加見込む
上図の通り今回のプロジェクトは、メールサーバーから損害賠償対策までと非常に幅広い分野をカバーしているが、今後については、30社程度までの参加を見込んでいるという。
櫻井氏も網野氏も「日本のメール市場の規模・内容とも米国市場から見ると成長の可能性は大きい。それを盛り上げて行くためには、当初、プロジェクトはNPOとして発足することを考えたのですが、まだ各社とも、そこまでのゆとりがなく、利益を出して行く必要があります」といい、「まずは、各社がこの試みを通じて利益を上げて、事業を拡大することが第一歩だと考えている」と口を揃える。
その達成に向かい、プロジェクト内の1~2社が組んだプライベートセミナーは既に始まっており、さらに、全社が集まった初の催しを9月にも行う予定だ。
(
文:丸山隆平、写真:更科智子
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