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北の核実験後、韓国でコンドームがバカ売れ

 「もし、明日地球が滅亡するならば、まずコンドームを」

 今月9日、北朝鮮が核実験を行って以来、韓国内でのコンドーム販売量が急増していることが分かった。観光ホテルやラブホテルの予約率も大幅に増加し、あるホテル予約サイトでは今月末までの予約が一杯になるという異例の事態となっている。嘆かわしいほどの「平和ボケ」状態にあった韓国社会に、目に見えない恐怖感が影のように広がってきているといえる。北朝鮮の核実験によって、韓国人の生活は本当に変わってしまうのか。

◆W杯当時よりも売れるコンドーム 

 今月9日から15日までの、コンビニエンスストア「ファミリーマート」全店舗での一日平均のコンドーム販売量は1930個で、先月の一日平均販売量1610個より19.9 %も増えた。今年9月までの一日平均販売量の1508個に比べると、約28%も増えたことになる。今月9日から21日までの販売量を調べても似たような結果が出た。この期間のコンドームの一日平均販売量は1857個で、依然として高い水準となっている。また、コンドームの販売量は今年のサッカー・ワールドカップ(W杯)のときより多いことも分かった。W杯が盛り上がりを見せていた今年6月の一日平均のコンドーム販売量は1751個に過ぎなかった。これは季節的な要因とも考えにくい。昨年10月の一日平均販売量はこれよりも少ない1462個で、2005年全体の一日平均販売量1357個を7.7%上回るにとどまったためだ。

 コンビニエンスストア「GS25」での調査でも同じような結果が出た。GS25の今月9日から15日までの一日平均のコンドーム販売額は354万ウォン(約44万1800円)で、先月よりも14.8%伸びた。今年1月から9月末までの平均に比べても12%の伸びとなっている。今月9日から21日までの販売額も、1月から9月末までの平均に比べて8.2%の伸びとなった。W杯の韓国対トーゴ、フランス、スイス戦が行われた日の一日平均販売量は約318万ウォン(約39万7000円)で、通常時と大きな開きがあった。

 卓上コンロ用ガスボンベやインスタントラーメンの販売量も、コンドームほどではないものの、わずかに増加した。GS25スーパーマーケットでの、今年と昨年の10月9日から15日までの卓上コンロ用ガスボンベとインスタントラーメンの販売量を比較したところ、今年はそれぞれ9.6%、7.2%の増加となった。

 観光ホテルやラブホテルの予約も急増している。ホテル予約サイト「ホテルVIP」のクァク・ホンス社長は「現在、ソウル・江南の特級ホテルは満室となり、ラブホテルも空室がほとんどない状況だ。秋夕(チュソク、韓国の旧盆)連休前後の予約が取りにくい状態も1週間程度で収まったのに、これほど予約が殺到するのは異例のことだ」と話している。

◆「無意識的な恐怖感が性欲を刺激」 

 こうした現象についての専門家らの見方はまちまちだ。韓国性教育研究所のソン・ギョンウォン代表は「米国同時多発テロ事件の後も、米国で性的関係を持つ人が増加したという研究結果がある。ワシントン大のペッパー・シュウォッツ教授(社会学)は“社会不安が高まるほど、人々はより熱烈な恋愛感情にのめり込む”と主張している」と語った。実際、1941年の太平洋戦争ぼっ発当時、米軍は最前線に配置された兵士たちの恐怖感を和らげる目的で女優のヌード写真を配っている。

 また、犯罪心理を専門とする東国大の李潤鎬(イ・ユンホ)教授は「社会全体の関心が一様に北朝鮮の核に向いている状況にあって、そこから逃れようとする欲求がより大きくなることが考えられる。コンビニエンスストアでコンドームを買う人々の年齢層が主に20代、30代であることを考慮すれば、こうした欲求が十分背景になり得る」と述べた。

 一方、延世大心理学科の黄相旻(ファン・サンミン)教授は「コンドームの販売量が増えたということだけで、北朝鮮の核実験に起因する社会現象だとまでは言えないが、面白い現象であることは確かだ。韓国社会全体を左右している高い不確実性によって、こうした現象が起こっているものと見るべきだ」と語った。

チョ・ウィジュン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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