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【記者手帳】京都「ウトロを守る会」支える2000人

 最近、二人の日本人に会った。 彼らが与えてくれた感動が、いまだ収まらずにいる。

 その二人は、ソウルで開かれた「ウトロ国際対策会議」発足式に出席した田川明子さん(60)と斉藤正樹(56)さんだ。田川さんは、日本人でつくる「ウトロを守る会」の会長で、斉藤さんは事務総長だ。

 京都府・宇治市にあるウトロ地区は、植民地時代に徴用された在日韓国人の子孫203人が住む集落だ。 彼らは今、この地区から強制退去させられる危機に面している。

 「ウトロに住む韓国人の子孫は『ここには、わたしの愛するすべてがある』と言い、地区を離れたがりません。長い月日が過ぎようと、いまだに植民地支配の痛みが癒されていないことを身にしみて感じます」と話す田川さんの目頭は赤かった。

 田川さんは「ウトロを守る会」が発足した1989年から17年間にわたって活動を続けている。 毎年5月には地区を訪れ、地区住民へのボランティア活動を行ってきた。会員は約2000人で、ほとんどが日本人だ。

 彼ら日本人は、なぜこれほど長期間にわたってウトロ住民を支援するのか? なぜウトロ退去を命じた日本の最高裁や政府に逆らうのか? 田川さんは「ウトロ問題は人権問題だからだ」と答えた。 斉藤さんも「ウトロ強制退去は、日本人の良心をかけて阻止しなくてはならない」と強調した。

 韓日両国の距離が広がりつつある現在の状況において、二人の発言は多くのことを示唆している。民族や国家は違おうとも、正義、人権、人類愛といった普遍的な価値で、その「違い」は克服できるというのだ。

 二人と志を共にする“2000人”の存在は、韓日間に深く刻まれた感情の溝を埋めることのできる「青い鳥」ではなかろうか。

オ・ユンヒ社会部記者 oyounhee@chosun.com

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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