アニメーターとして、「勇者シリーズ」や「魔法騎士レイアース」・「シャーマニックプリンセス」など数多くの名作・傑作に携わった後、漫画家に転進され、その繊細なキャラクター描写で人気の石田敦子先生。今回はその石田先生がアニメ業界を舞台に二人の若者の成長物語を描いた話題作「アニメがお仕事!」を特集します。アニメ・漫画業界に限らず、様々な業界から注目されているこの作品、その制作過程はもちろん、裏側までフォローしたこのインタビュー、せひ読んでみてください!

   
 
アニメがお仕事!
© 石田敦子/少年画報社・YKアワーズ

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『とらだよ。』vol.50対象ページ
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 第73回:水城せとな先生

 第72回:カトウハルアキ先生

 第71回:中田ゆみ先生

 第70回:柴田ヨクサル先生

 第69回:梅澤淳 氏

 第68回:はっとりみつる先生

 第67回:蒼樹うめ先生

 第66回:むんこ先生

 第65回:清水栄一先生×下口智裕先生

 第64回:塩崎雄二先生

 第63回:「コミックビーム Fellows!」編集 大場渉氏

 第62回:大石まさる先生

 第61回:ヒロユキ先生

 第60回:きづきあきら先生・サトウナンキ先生

 第59回:ISUTOSHI先生

 第58回:重野なおき先生

 第57回:紺條夏生先生

 第56回:志村貴子先生

 第55回:森永みるく先生

 第54回:神宮司訓之氏

 第53回:私屋カヲル先生

 第52回:久世番子先生

 第51回:大島永遠先生

 第50回:おがきちか先生

 第49回:「コミックハイ!」編集長 野中郷壱氏

 第48回:えりちん先生

 第47回:倉科遼先生

 第46回:よしながふみ先生

 第45回:菊池直恵先生

 第44回:石田敦子先生

 第43回:藤代健先生

 第42回:林家志弦先生

 第41回:山名沢湖先生

 第40回:ひぐちアサ先生

 第39回:鈴木次郎先生

 第38回:竹本泉先生

 第37回:深巳琳子先生

 第36回:影崎由那先生

 第35回:宮野ともちか先生

 第34回:甲斐谷忍先生

 第33回:芳崎せいむ先生

 第32回:阿部川キネコ先生

 第31回:田丸浩史先生

 第30回:二ノ宮知子先生

 第29回:大井昌和先生

 第28回:広江礼威先生

 第27回:曽田正人先生

 第26回:日本橋ヨヲコ先生

 第25回:羽海野チカ先生

 第24回:石田敦子先生

 第23回:柳沼行先生

 第22回:大島永遠先生

 第21回:吉崎観音先生

 第20回:小野寺浩二先生

 第19回:ぢたま某先生

 第18回:森薫先生

 第17回:木尾士目先生

 第16回:堂高しげる先生

 第15回:犬威赤彦先生

 第14回:八神健先生

 第13回:志村貴子先生

 第12回:文月晃先生

 第11回:Dr.モロー先生

 第10回:梁慶一・尹仁完先生

 第9回:山口貴由先生

 第8回:塩崎雄二先生

 第7回:倉上淳士先生

 第6回:榎本俊二先生

 第5回:氷川へきる先生

 第4回:山浦章先生

 第3回:さなづらひろゆき先生

 第2回:村枝賢一先生

 第1回:はっとりみつる先生

  • 編集:まずこの「アニメがお仕事!」(以下、「アニメ」)を描くことになったき っかけを教えてください。

    石田先生:以前からアニメーターの話は描けるなとは思っていたんです けど、絶対描かないって決めていたんです(笑)。 「これって経験したことだよな」とか勘繰られるのがイヤだから描かない ようにしようと決めていたんですけど、前の作品(「純粋デート倶楽部」) の経験、休刊とかそういったことがあって考え方が変わりましたね。 あの描けなかった時期、描けるか描けないかで揺れた1年の経験のおか げで、「今 描く場があるのなら何でも描こう。自分の中にあるものを描け るならどんどん描いていこう」という思いになりました。 あと担当さんがすごく推してくれたのも、きっかけですね。背中を押してく れたというか。

    担当さん:読者時代から石田先生のファンで、連絡先を紹介してもらった その日に「アワーズでやりましょう」って、会いに行ったんです。 それで打ち合わせを重ねていくなかで、石田先生から10本くらい描いて みたい漫画を出されて、その中から最初は女子寮モノをやろうということ で決まったんです。それでさらに細かい打ち合わせを、という時に石田先 生から「いや、実はもう一つ出していないのがあって、アニメーターの話な んですけど」って言われたんです。もう「これは!」って思って、即座に「それ、 やりましょう」ってお願いしたんです。

    女子寮モノは私自身が専門学校時代に女子寮にちょっとだけいたんで、 その経験をいつかは出したいなと思っているんです。こっちのお話もいつ か描いてみたいですね。

  • 漫画を描く際に経験って大事だと思いますけど、創作と実話、すごくバラ ンスが大変だろうなって思うんですけど、その点はどうでしたか?

    ただ経験したことをそのまま描くんだったらエッセイにしかならないんで、 ちゃんと漫画として創作できているかどうかが課題だなと思って描いて います。事実のまま描くことはしないで練り直してエピソードにしています。 三鷹さんのあんぱんにバターの話(第1話)も、あれって、「あんバタ」とい うものが売っていて、それを好きで買っている友達がいたんです。それが あるとき、他の友達が「それ、普通にあんパンにバターを入れればいいん じゃないの?」って、ツッコんで、それがずっと頭に残っていて、じゃあ入れ る人がいてもいいかなって創った話なんです。だからやっていた人がいた わけじゃなくて、冷静にツッコんだ友達がいたっていうのが経験なんです よ。 でも最近は全部本当にあったことって思われるのもいいのかなと思ってい るんです。それくらい本当のように見えるのも漫画として良いことなのか なって。実は第1話を描いた後に友達からメールがあって、『「石田さんって、 本当にガンダムの劇とかやっていたんですね」、ってスタジオで言われて いるよ』って書いてあったんです。もう「やっていないのを知っているのに何 故その場で否定してくれないんだろうこの子は」って(笑)、パソコンの前 でツッコんでいました。「同じ業界の人でも経験だと思うんだ〜」とびっく りして。 他にも動画時代を一緒にやっていた友達と話をしていて言われたのが、 制作と彩色の子がカップルになる話(第9話)について、「これ、●●さん の事だよね」って、勝手に決めているんですよ。「だって●●さんって、最 初は○○ちゃん狙いだったじゃん」って言われて、「そんなこと、いま初め て知ったよ」って(笑)。

  • 今もアニメの原画作業などをやられていますが、漫画家になる前の石田 先生が「シャーマニックプリンセス」とか「魔法騎士レイアース」などをやら れた頃と違って、今ではだいぶデジタル化が進んでセル画もないじゃな いですか、その点の舞台設定、時代設定はどうされたんですか?

    この「アニメ」では今とはちょっと前の、セル画がまだギリギリある時代の 話を描いているんですよ。携帯なんかも使っているんですけど、そこはあ まりハッキリとさせないようにしようと思っています。 あえて言えば、そうですね、自分が「シャーマニックプリンセス」をやってい た頃、ちょうどいろんな作業がデジタルに移行し始めた頃の話かな。まわ りも自分も携帯を持ち始めた頃です。 以前は「初号」というものがありました。その名前の通り最初に出来上が ったものという意味で、それまでの絵を一本に繋げて、効果音や音楽も 全部入れた完成品のことを「初号」って言うんです。 当時はフィルムなので出来上がったら、アニメ会社の人はもちろん、声優 さんも現像所に集まって、完成した初号を観るということがあったんです けど、今はそういうのがほとんどないんですね。デジタルだからギリギリま で、もう放映の何時間前まで作業して、制作の方が走って、「3つ赤信号 にかかっていたら放映が出来なかった」とかそういう話があるぐらいなん ですよ(笑)。 だからみんなが集まって出来上がった作品を観るっていうことがなくなっ たんですけど、私はそれがある時代のものを描きたかったんです。あのみ んなが集まる「初号」っていう儀式、あれはもう「次も頑張ろう! と思える 儀式」ですね。

  • みんながすごくテンパっている時にイチ乃が「でも楽しいですよね」って 言っちゃう話(第7話)がありましたけど、その辺のノリとか今より昔のほう があったんですか?

    アナログの昔の方が色々とやりとりが多かったんですよ。今はデジタルな んで人とのやりとりの回数自体も減りましたし、作画の打ち合わせも電話 でなんてことも多くなり、人と会う機会も減りました。 TVシリーズが始まって物凄くテンパり始めると、作中にあるように、ちょっ とダメな動画も通してもらえる、というより通さないといけなくなってくるか ら、描く枚数も増えていくんですよ。そうすると出会う原画も多くなって、 勉強になるし、収入も増えて、そんなのが続いていくと、キツイけどなんか 忙しいが故に楽しいっていう感じになっていくんです。でもそこでイチ乃み たいに声を出して言っちゃダメですよねー(笑)。スケジュールがきつくて 本当に体調が悪い人もいるんだから、「そこで言っちゃダメなんだよ、イ チ乃! 心の中だけにしときなさい」って思っちゃいますね(笑)。

  • みなさんやっぱり石田先生のことをイチ乃と重ねているんですか?

    どうなんでしょう? 私自身は「イチ乃はまだ甘いな」って思いながら描い ています(笑)。 「二太がいていいな」とか「一人暮らしを始めてからだよ、キツイのは」とか、 そう思いながら描いているんで、イチ乃ではないと思っているんですけど、 共通事項としては同じ女子校出身といったことぐらいかな。 イチ乃に限らず、特に誰が誰のモデルということはないですよ。やっぱり 誰かをモデルにしちゃうとその人の行動しか出来なくなるんで、枠が出 来て、漫画の中で動いてくれないんです。やっぱりキャラクターは一から 作らないとダメですね。

  • 石田先生としては一人の女の子や男の子がこのアニメ業界を通して成 長していく物語を描いていきたいのでしょうか?

    アニメ業界でもなくても良かったんですよ。好きなことを仕事にした故に 苦しんでいる、辛い思いをしている、だけど前に進みたいと思っている子 たちを描きたいなって思ったんです。 昔ですね、美容院で「働いているんですか?」って聞かれて、「アニメータ ーをやっている」って言ったら、「儲かるんですか?」とか、色々尋ねてくる んですよ。その頃はまだ動画だったんで生活も楽じゃなかったですし、「ア ニメーターになりたい」って言っていた高校の友達も結局は普通に卒業し て、就職して、実際には私一人しかならなかったという話をしたら、その美 容師さんが「みんなの方が利口だったんじゃないですか?」って言うんで すよ。その時はびっくりして言い返せなかったんですけど、その言葉がすっ ごく心に残っていて、「辛いけど楽しいこともあるぞ!」って、この作品で言 いたいなと思いましたね。

  • 双子、しかも姉と弟の設定にしたのはなにか理由があるんですか?

    双子にしたのはいっぺんに二人の道が描くことが出来ると思ったからです。 それと最初からイチ乃が途中で二太よりも上手くなるっていうのは決め ていたんで、二人の差というものも表現できると思いました。 そういうのって男の人には多分一番キツイじゃないですか。双子の姉弟 だし、しかも後から来たのに抜かれる、そうやって落ち込んでいくところは 全部連載前に考えていました。 姉・弟にしたのは、姉が頼りない方が面白いかなって思ったくらいで、そこ は結構単純な理由です。

  • 読んでいて思ったのは二太がひょっとしてアニメ業界を辞めちゃうのかな、 二太は二太で別の何か幸せな道を見つけるのかなと思ったんですけど。

    立ち直るところはなんとなく見えているんで、今後二太がどうなるかは読 者のみなさんには楽しんで待っていただければと思います。 でもアニメ業界を辞めた人の話も描きたいと思っているんですよ。ちょっ と乱暴な言い方をすると、アニメーターになるのってホントに簡単なんです。 ただ第1話でも描きましたけど、それ以上に辞める人も多くて、例えば来 たその日に辞める人もいるんです。辞めたその人達がアニメを観るのが イヤになっているか、それともアニメを観る側に戻って楽しく見ているか、 どっちか分からないんですけど、続けていく人より辞める人の方が絶対多 い業界なんで、そういった人の立場も描くことが出来たらいいなと思って います。

  • 登場人物がすごく多い作品ですけど、そのあたりはどう決めていったので すか?

    最初にばっと描いたのがイチ乃と二太、それとのんのと三鷹さんや他の 動画の人達ですね。湯田上はまだいませんでした。彼はあとから引っ掻 き回すキャラが欲しいなと思って作ったキャラですね。 それからのんのはいつもフリフリを着ていて、三鷹さんはいつも目は見え ないようにとか細かく描いていったんです。そうしたら担当さんから「なん かイチ乃って、泣いているだけでキャラが弱いですよね」って言われたん で、「わかりました、じゃあカープファンにします」って(笑)、そういった特徴 をプラスしたんです。

  • ちなみにお気に入りのキャラクターはイチ乃なんですか?

    どうなんだろう? 以前アニメのキャラクターデザインをしていましたけど、 そのデザインというか、キャラはもう人に渡す前提で描いているものだから、 自分のキャラなんですけど、自分のキャラじゃないんです。だからその辺 の「キャラを冷静に見る力」みたいなものは付いたと思うんです。 「これは自分のキャラだ!」なんて思い込み過ぎると人に渡せなくなっちゃ うんですよ。他の人が作画監督した回を観て、「違う、これは私のマイトじ ゃない!」(笑)とか言っていたら、それはもうアウトなんで、キャラクターは作 品のもの、と思うようにしてきました。「愛着はある」、でも「人に渡すもので ある」っていう考えで何年かやってきたんで、漫画でも特定のキャラに入 れ込んじゃって、この子だけは可愛がろうとかそういう特別な思いはない ですね。 客観的に見ているというか、キャラに冷たいのかなと思うんですよ(笑)。 だから二太もここまで落とせたのかもしれないし。「愛情はありますが執 着はない」と言えばいいのでしょうか。

  • 石田先生の漫画を読んでいて思うんですけど、いい人ばかり出てくるわ けでなく、前に進んで行くなかで必ず障害がありますよね。それがキツイ というか痛いというか。

    「痛い漫画」って良く言われているのは知っているんです。『からくり変化  あかりミックス!』という漫画を描いている時に知り合いからも作中のクラス メイトにあかりが「あかりちゃん、ほんとしつこいんだよ!」って言われるシー ンとかに対して「どんな痛い漫画より、こういうシーンの方がイヤ」とか言 われたことがあります。 でも痛い、痛いって言われているんですけど、私自身は痛い漫画は読め ないんですよ。だから私は「みんなこういう経験することあるよね」くらいの 気持ちで漫画を描いているんですけど、周りはそう思ってくれないようで(笑)。 どっかに引っかかっている痛みというか、棘みたいなものなのかな? でも 私としては希望を与えたいし、それはもちろん二太にも与えたいと思って います。

  • 作品のターニングポイントになった、手応えを掴んだ回ってありますか?

    第1話かな? 相当内容を練りこみましたし、だいぶ変えたり加えたりした んで。あと三鷹さんが悪い女になってからですね(笑)。

    三鷹さんが二太と関係を持つときの話(第12話)で三鷹さんが眼鏡を外 すシーンがあるんですけど、絵コンテの段階では結構前のページで眼鏡 を外していたんですよ。それをアノ「私 むずかしいわよ」のセリフの時に取 って欲しいってリクエストしたんです。「ここで三鷹は女になるんだ!」ってい う意味で(笑)。

  • あれは良かったですよね。あと黒髪で黒い下着というのも。

    白が似合わなかったんですよ(笑)。最初に白で描いたら「うわっ似合わ ない」って思って、ベタで塗っちゃったら「あ、似合う似合う」って。なんとな く悪な感じで行けたかなと。

  • 連載を続ける中で最初何巻くらい、何話くらいってありました?

    特に決めなかったですね。月刊誌なんでとにかく1話完結型ということだ け担当さんと決めていました。 だからイチ乃がどこまで行くかもまだハッキリしていないんですよ。原画 になれば終わりなのか、作画監督やキャラデザになれば終わりなのかと いうのは微妙で、きっと最後はそういった段階をのぼることでなくて、気持 ちの問題で終わるんだと思います。

  • まさかマンガ家になって終わるとか(笑)。

    それはないです〜!(笑) 

  • そうですか(笑)。ところで石田先生にとって初の3巻になりそうですけど、 連載が続いたことによって、なんかサイドストーリー的なこととか増やそう と思った話とかありますか?

    第1巻でイチ乃の上京の話を入れましたけど、今度は入社する時のエピ ソードを入れようと思っているんです。そういったキャラクターを掘り下げる 話が増えるといいんですけど、やっぱりイチ乃もこのまま順調にはいかな いとは思うんですよ。一人暮らし始めたりとかなんか新しいこと始めたりと かするとやっぱり落ち込む事もあるんで、波が来ると思うんです。あと恋 愛要素も入れたいんで、その辺を描く事が出来ればと思います。

  • あと気になったのはイチ乃の胸の大きさなんですが、あの机に胸が乗っ かる話(第3話)とかすごく胸が強調されていますよね。

    あまり考えないで描いたんですけど、すごく反響がありましたね。知人の 作家さんからイラスト入りのFAXが来たり、電話もいただいたんですけど、 その作家さんから「石田さん、こういう胸とかでファンを増やそうとか思わ ずに描いているでしょ」って言われたんで、「全然考えてないです」って答 えたんです。そうしたら「その無意識なとこがいいんです!」って言われて(笑)、 本当に反響が大きくてびっくりしました。自分じゃギャグというか「笑って 下さい」って描いたエピソードなので。だって「毛玉」ですよ〜。 胸を大きくしたのはちょっとあか抜けない感じにしたかったからなんです。 なんかバッチリとスタイルがいい、背の高い子っていう感じじゃなくて、曲 線を入れることでふくよかというか、田舎っぽい感じになればと思いました。

  • ピッチャーのモーション分解の話(第11話)がありましたけど、これって実 際にやっていたんですか?

    パラパラ漫画にはしませんでしたけど、モーション分解の模写まではして いました。「月刊カープファン」を見ながらやっていたんですけど(笑)、私 自身はアニメと全然関係なく本当に単純にカープが好きだからやってい たんです。 それをイチ乃の場合、きっかけは私と同じカープファンだからですけど、パ ラパラ漫画までオリジナルでやっていたという設定にして、「この子は動き をちゃんとわかっている、考えている」という技術的な土台にしてみたんで す。なんにもなくて突然上手くなるのも変ですし、そういった意味ではエピ ソードとしては上手く出来たかなと思っているんです。実際反響もあった シーンです。

  • イチ乃が上手い人の絵を見て参考にしているシーンがありますけど、石 田先生もやっぱりいろんな人の絵を見てたんですか?

    現場にあるものは全部見ましたね。金田さんの原画を見た時はもう嬉し くて。あの頃、身近な中ではいのまたむつみさんが一番上手かった印象 が強いです。すごいんですよ、ほとんど下書きがなくても絵が描ける人で。 頭で描いた絵がそのまま絵に出せると言うのか、描き始めたら迷わずす ごいレベルのものを上げてました。安彦良和さんもそうみたいで、奥から 手前に20台のバイクが来る原画を下書きなしで描いたって聞きました。 そういう伝説とかいっぱいありますよ、上手い人はもうとんでもなく上手い んで。 三鷹さんの話(第12話)でも描きましたけど、上手い人がいっぱいいすぎ て怖いぐらいですね。アニメ雑誌に載っている上手い人ももちろんそうな んですけど、全然名前が出てない人でも上手い人が山ほどいるんです。 「天才ってこんなにいっぱいいるんだ!」と思ったこともあります。

  • 最後に読者へのメッセージをお願いします。

    アニメーターになりたい人はじゃんじゃんなって欲しいなって思いますね。 なるのはそんなに難しくないんで、まずなって欲しいなって思います。アニ メーターは貧乏とか言われてますけど、入ると「あ、稼いでいる人は稼い でいるな」ってわかりますよー。ちょっと特殊な業界過ぎてわかりづらいと 思いますけど、ぜひ元気なアニメーターがもっと出てきて、アニメ業界を 担って欲しいですね。 もちろんアニメ業界だけじゃなくて、元気な人がいっぱいいてくれればと 思うんです。私、自分の漫画にテーマを持っていまして、それが「良い日も あるから生きていこう」なんですよ。帯にも書いてありますけど読んでくれ た方のビタミンになれれば嬉しいです。

[取材日:平成17年2月26日(協力 少年画報社「ヤングキングアワーズ」編集部)]


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